「ウィ、シェフ!」La Brigade
監督:ルイ=ジュリアン・プティ
出演:オドレイ・ラミー、フランソワ・クリュゼ
一流レストランでスーシェフを務めるカティは、シェフと大ゲンカして店を飛び出してしまう。やっとのことで見つけた新しい職場は移民の少年たちが暮らす自立支援施設で、まともな食材も器材もない。一人で大人数の料理を作るのは無理と、不満を訴えるカティに、施設長ロレンゾは少年たちを調理アシスタントにすることを提案。料理がつないだ絆は少年たちの未来のみならず、天涯孤独で人づきあいが苦手だったカティの人生にも変化をもたらしていく。
実在の職業訓練校講師カトリーヌ・グロジャン(Catherine Grosjean)がモデル。主人公カティの名は、カトリーヌからきているとか。オドレイ・ラミーは色々な作品に出演している中堅女優。施設長ロレンゾ役のフランソワ・クリュゼは「最強のふたり」に出ていた。
カティは身寄りがなく、施設で育ったという設定。移民の少年たちには故郷や身寄りがあるが、この先フランスで暮らしていけるかは未知という不安定さ。もしかすると、彼女は少年たちの境遇に親近感を覚えたかもしれない。
少年たちはサッカーが大好きで、仕事を割り振るのに、カティはサッカーのポジションで説明する。原題の「La Brigade」は「チーム」という意味。
映画の中では、職業訓練校やレストランの見習い枠として「歓迎」の雰囲気があったが、たぶん、料理の世界は下積みが長くて厳しいのもあり、最近はフランスの若者にあまり人気がないことと関係あると思う。(『英国一家、フランスを食べる』)
この映画で描いているのは夢物語ではない。調理アシスタントになった少年たちの何人かは、国外退去となる。そんな厳しい現実もしっかり描かれている。
ところで、カティの元上司リナが審査員を務める「TVチャンピオン」みたいな料理バトル番組だけど、フランスにこんな番組があるんだろうか? 最後に決勝戦の結果はどうなったんだろう。
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