横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

デューン 砂の惑星2

デューン 砂の惑星2」
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
主演:ティモシー・シャラメ

<あらすじ>
 惑星アラキスにてアトレイデス家滅亡後、後継者ポールは母のレディ・ジェシカと共に砂漠で生き延びていた。砂漠の民フレメンに助けられながら、ハルコンネン家に復讐する機会を伺っていた。アトレイデス公爵の子を妊娠中のレディ・ジェシカは、新しい教母となることを了承する。ポールは砂漠で生き抜く術を学んでいき、夢に出てきた女性チャニとも関係を深めていく。アトレイデス家の家臣だったガーニーも生き延びていて、再会を果たす。
 ハルコンネン男爵は、甥のラッバーンに満足できず、後継者にその弟フェイド=ラウサを指名する。

 


 原作だと、あの後2年ほど経過し、レディ・ジェシカは女の子(ポールの妹)を出産し、その子が不思議な存在となるのだが、映画ではまだ生まれていない状態で最後まで話が進む。大きなお腹の妊婦のまま、砂漠を旅するし、クライマックスとなるポールとフェイド=ラウサのチャンバラシーンを迎える。ほんの数か月の間に起きたことになっている。

 圧巻なのは、ポールが巨大な砂虫(サンド・ワーム)を操り、乗りこなす場面。原作にあったか覚えていないのだが、砂漠の民フレメンの仲間として砂漠で生きて行くには、砂虫と共生するしかないのだ。

 ジェシカとポールがそれぞれ青い毒を飲んで、「救世主」に変貌するところがすごい。長い年月、香料を吸い込むうちに自然に青い目になるのではなく、一瞬で青い目に変わるのだ。恋仲になったポールが遠い存在になってしまうのを目の当たりにした、チャニの驚きと嘆き。

 アトレイデス家の家臣ガーニーと再会するが、演算子ことスフィル・ハワトも生き延びていたはずなのだが、ポールと会わずじまい。あれれ?と思いきや、登場シーンを撮影したけれど、監督の判断でカットされたとか。

 

 原作の「砂の惑星」シリーズまでで終わるなら、映画はハルコンネンを倒し、皇帝の娘イルーランと「結婚する」と宣言するところで終わったはず。「スターウォーズ」でいうとエピソード3とかエピソード6みたいな。……なのだがそうはならず、次の戦いへとつながっていく。未読なのだが、原作には続編「砂漠の救世主」シリーズがあるので、それも含めて映画化するつもりで、今作はこういう終わり方になったのだろうか?

 映画では、チャニはただの恋人ではなく女戦士となっていて、作戦でもバリバリ闘う。ポールと出会ってほんの数か月しか過ぎていないので、政略結婚のためとはいえ、ポールはあっさり恋人チャニを捨てた「チャラい奴」みたいになってる。いいのか? 原作では2年ほど一緒に過ごす間に、チャニはポールの子供を産んでいるので、かなり深い関係になっていて、それだからこそ、本当に大事に思っているのはチャニの方で、イルーランなんてただの政治の道具さ、みたいな台詞が活きてくるのに。

 ハルコンネンはなんで全員スキンヘッドなんだろう。旧作ではスティングが演じたフェイド=ラウサは、本作では「やべー奴」感が溢れている。闘技場の場面、彼と闘った3人目の戦士が東洋系で、なかなか倒せない強敵として描かれているのがうれしかった。

 映画も三部作になるようだけれど、続きを見ようかな、どうしようかな。

 

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