横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

2024 東京セミナー/全国大会

    今年の記念品はアクリルスタンド。もったいなくて組み立てていない

 

 この土日は、JSHCの東京セミナーと全国大会がありました。

 申し込みの際に非常事態が発生。現在でも会場の参加人数を制限していて、大会に申し込んだ時には、既に定員に達していました。昨年秋の高崎大会(こちら)では人数制限が解除されていたのですっかり油断していた……!
 なので、大会の方はオンライン参加で、その前日の東京セミナーの方のみ現地参加となりました。

 

 コロナ禍以降、なかなかお友達に会えなくて。そんな中、東京セミナーでは時代小説家の飯島一次さんに数年ぶりに再会できました。飯島さんは時代小説のホームズパロディを発表されています。映画通としても知られ、映画コラムも執筆されています。
 最近、伊丹完のペンネームで新作を発表されましたが、その経緯がすごい。お酒を飲んで転倒して、負傷して一か月の入院。なかなか痛みが引かず、早く治れ!との願いから「伊丹完」というペンネームに決めたとか!! 
 映画通らしく、東京セミナーでの発表は「探偵はつらいよ」で、「男はつらいよ」の寅さんとシャーロック・ホームズについての考察でした。渥美清金田一耕助横溝正史原作)を演じていたなんて、初めて知ったわ~。

 

 午後のシンポジウムでは、新しい&若い会員が増えたので、これまで日本で出版されたホームズ関連研究書や、クラブの活動の流れについて。

 会員数の増減(入会者、退会者)のグラフを見て唸ってしまいました。1980年代にNHKグラナダ版ドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」が放送された頃、会員数は1300人に上り、東山あかねさん曰く「ピークでした」。その後会員数は減り、現在だとその半分くらいに。
 1980年代はバブル経済だったし、会員の減少は、日本社会の不景気と少子高齢化を反映しているのだろうと、私は今まで思っていました。
 ですが、2000年以降はネットの時代になり、昔ならJSHCのような団体に会費を払って入らないと情報を得たり、愛好家と交流できなかったのが、ネットでタダで情報が手に入り、愛好家同士で交流もできてしまう。わざわざJSHCのような団体に入会する必要がない。その指摘は目から鱗でした。
 むしろ、そんな時代に一部の会員さんがSNS界隈のインフルエンサーとなり、ネット上で色々と発信し、交流し、イベントを開催し、新しい人&若い人をホームズの世界に、ひいてはJSHCに招き入れたのは、大きな功績だったなあと。

 

 翌日の全国大会でのエピソードにつながるのですが、上記のインフルエンサーのお一人である、アカウント名「JSHC月例会」さん(というか、中の人)がホームズ大賞奨励賞を受賞されたのは、当然の流れかなと思いました。

 今年のホームズ大賞は、えのころ工房さんの『シャーロック・ホームズ人物解剖図鑑』でした。大会記念品のアクリルスタンドのデザインも、えのころ工房さんによるものです。実は、2021年にホームズ大賞を受賞した北原尚彦さんの『シャーロック・ホームズ語辞典』でイラストを担当したのがえのころ工房さんなので、2回目の受賞ということになります。おめでとうございます!

 そして特別賞は、NHKの番組「100分de名著 シャーロック・ホームズスペシャル」が受賞しました。この番組、シャーロック・ホームズの回はもちろん、エドガー・アラン・ポーの回なども見ています。NHKでは三谷幸喜さんの人形劇も放送しているし、ホームズ関連は色々とコンテンツが多いです。

 今年に限らないのですが、近年は大会実行委員や発表は新しい会員さんが担当し、切り口が斬新でとても楽しんでおります。


 以下、余談。
 土曜日にふと「王子名物のくず餅を買いたい」と思い立ち、昼休みに買いに行きました。NHK Eテレの「小雪と発酵おばあちゃん」という番組で、発酵食品の一つとして、王子・石鍋屋さんのくず餅が紹介されたのです。翌日はオンライン参加なので在宅だし、ちょうどいいおやつになる。
 その帰り道、こんな看板を発見。「めいたんてい」ですと!? うわあ、気になる。

 今年は会場付近の飛鳥山公園で、桜の花を見られるのでは……と思いきや、寒の戻りで桜には間に合わず。