『Les Aventures de Vick et Vicky L'Héritage de Sherlock Holmes』
Jérôme Louiche / Bruno Bertin
EDITIONS P'TIT LOUIS 2015年
フランスで1995年から刊行されている『Les Aventures de Vick et Vicky』シリーズ。ブルターニュ地方のレンヌに住んでいる主人公ヴィック少年の傍らには、いつも白い愛犬ヴィッキーが一緒。
あれ? どこかの超有名な少年記者と愛犬のような設定……と思っていたら、Wikipediaにあっさり「タンタン」へのオマージュだと、書いてあったよ。
この21巻『L'Héritage de Sherlock Holmes(シャーロック・ホームズの遺産)』は、スイス・リュサンが舞台。どうしてこの本を買ったかというと、ホームズ博物館とリュサン城が出てくるから!
ヴィックはこれまで仲間たちと色々な冒険をしてきた。学校ではイレーヌ(英語だとアイリーンなので、明らかにアイリーン・アドラーを意識している)という女の子と知り合い、皆でホームズのコスプレをしてゲームを楽しむ。なぜかイレーヌの家の居間は、ホームズの部屋みたいな内装。
ヴィックはボーイスカウトの活動で、仲間たちと一緒にフランスからスイスに行く。マイリンゲンで列車を下り、ライヘンバッハの滝へ観光に行く。
現地のボーイスカウトの引率者から「兄がリュサンのホームズ博物館の関係者だから、紹介するよ」と言われ、翌日皆でリュサンのホームズ博物館へ行く。
「ホームズ博物館の関係者」として登場したヴァンサン(右のコマ)は、スイス・ロマンド・ホームズ研究会の会長です。まさか、バンドデシネに知り合いが出てくるとは!
ヴィックたちはホームズ博物館を見学し、続いてリュサン城も訪れる。リュサンにはシャーロック・ホームズの残したお宝があり、それを皆で探す。イレーヌの先祖はコナン・ドイルの知り合いで、お宝の手がかりを所有しているという設定。
ちなみに、このシリーズはシナリオ担当者が何人もいるのだが、今回シナリオを書いたのは、フランス・ホームズ協会のリヨン在住の会員だという。フランスとスイスのシャーロキアンの協力で、この本は完成したわけだ。
巻末に、読者の子供たちをホームズの世界に案内するイラストが描かれている。なんだろう、ホームズ風の衣装を着たヴィッキーが、スヌーピー・ホームズに見えるぞ(右下隅)。
この本もある意味「ご当地ホームズ」本かもしれない。スイスというかリュサンの観光ガイドになっている。
気になる洋書を見つけるとブックマークしておくんだけど、この本が出たのは2015年秋なので、5年も放置してしまった。寝かせすぎだろ。もっと早く買えば、会報にバンドデシネの記事を載せた時、一緒に紹介できたのに。うう、不覚!不覚!
【関連記事】