上野の国立西洋美術館まで、「憧憬の地ブルターニュ」展を見に行ってきた。
フランス・ブルターニュ地方には昔行ったことがあり、大好きな場所なのと、ブルターニュをテーマにした絵画がまとまって鑑賞できるということで、いそいそと足を運んだ。
最近のトレンドなのか、一部の作品は写真撮影OKだった。国立西洋美術館で所蔵するもの、かつ許可されているもの限定だけど。
19世紀、「絵になる景色」を求めた画家たちの間でブルターニュ地方ブームが起きた。変化に富んだ海と空、民族衣装を着た女性たち、独特の文化に惹きつけられた。その後、鉄道網の発達によりパリからのアクセスが向上し、保養地として人気が高まる。画家たちは別荘を買い、あるいは絵画制作に励んだ。
有名な、ポン=タヴェンで活動したポール・ゴーギャン(美術展ではゴーガン)だけでなく、余所(フランス、海外)からブルターニュにやって来た画家たちが、新鮮な目でブルターニュを描いている。そんな作品を日本国内の美術館から集めてある。
アルフォンス・ミュシャも、ブルターニュ女性をモデルにした作品を描いているのは知らなかった。《岸壁のエリカの花》と《砂丘のあざみ》の2点が見られた。日本の浮世絵の影響を受けたアンリ・リヴィエールの木版画は、モチーフはブルターニュなのに、タッチが浮世絵っぽい。こういうの、好きだな。
クロード・モネ《嵐のベリール》
ポール・セリュジエ《ブルターニュのアンヌ女公への礼賛》
明治以降、日本からも若き画家たちがフランスへ留学するようになると、ブルターニュへ足を運ぶ者が出てくる。フランスに長く住み、やがて帰化した藤田嗣治は別として、黒田清輝、久米桂一郎などもブルターニュに滞在していた。
地元の住民をモデルにしながら、日本画のように屏風を仕立てていた者も。斬新!
たっぷり一時間以上、会場にいたと思う。とても充実した美術展だった。
現在、新宿のSOMPO美術館でも「ブルターニュの光と風」展を開催中。こちらは、フランスのカンペール美術館の作品が中心。
今回はあれこれ買ってしまった。やはり、ブルターニュまでなかなか行けない、というのが大きい。でも、ほとんど消耗品だからいっか。
帰りにパン屋でおやつを買ったら、ファーブルトンやクイニーアマンなど、やけにブルターニュのお菓子が並んでいる。「ル ビアン LE BIHAN」という店で、調べてみるとブルターニュのパン屋だった! そんなこと知らずに入ったのに。
おやつはもちろん、ファーブルトン。ブルトンは「ブルターニュの」という意味。