パリ警視庁の警視ラファエル（ローラ・ドヴェール）は、捜査で出会った犯罪資料局のアストリッド（サラ・モーテンセン）の知識と能力に驚き、捜査への協力を依頼する。自閉症のアストリッドは、現存の書類だけでなく過去の書類も記憶していた。大雑把で姉御肌のラファエルと、「予定外」の行動が苦手なアストリッドは対照的だが、共に行動し、事件を解決するうちに、最強のバディになっていく。
NHK総合の海外ドラマ枠で放送された、フランス発ミステリ。
いいぞ、NHK。もっとやれ！
何年か前にAXNミステリーで放送されたが、NHK版は吹き替え。アストリッド役の貫地谷しほりさんの声と、サラ・モーテンセンさんのフランス語の声が同じ感じでびっくりした。それでキャスティングされたのかな。
第１話、第２話の「パズル」を見逃し、第３話、第４話の「呪われた家」から見始めた。
第４話「呪われた家 後編」の中で、なんと「ロカールの原理」が登場！
容疑者を連行する際に、ラファエルが「ロカールの原理」について口にしたのだ。
「ロカールの原理。犯人は現場に証拠を残す。そして持ち帰りもする」
容疑者は犯行現場に指紋や髪の毛といった証拠を残さなかったが、家宅捜査で服から硝酸カリウムが検出されてしまったのだ。
録画を見た後うっかり消してしまい、「フランス語だと何て言ってるんだろう？」と思い、検索してみたけれど台詞は見つからず。その代わり、意外な発見が。
シーズン１のエピソード８（NHK版は第10話）は、フランスだと「Le principe de Locard」というタイトル。仏語Wikipediaでは「Invisible」のままだが、テレビ雑誌「Tele Star」によれば元のタイトル（titre original）とあるので、フランスでは後から変更されたらしい。
なので、NHK版はどんな邦題になるか気になっていたのだが、結局「五線譜の暗号」となった。ううむ、「ロカールの原理」とか「ロカールの法則」とはならなかったのかー。残念！
アストリッドは驚異の記憶力を持つだけでなく、パズルとミステリが好き。事件の謎解きをパズルだと思っているふしがある。第６話「閉ざされた部屋」で密室殺人に遭遇した際は、ジョン・ディクスン・カーの「密室講義」を引用する。第９話「消えた遺体」では、シャーロック・ホームズからの引用が。「どんなにありそうになくても、不可能を排除したあとに残るのは真実である」という訳し方だった。
ニコラが文学通で、第５話では溺水した女性を「ハムレット」のオフィーリアに例え、第６話ではペンネームを複数使い分ける作家の話で、ロマン・ガリとエミール・アジャールの例を出す。
このドラマには日本文化がフィーチャーされている。
アストリッドは「紙の部屋」に資料を広げ、真ん中に小さな畳を敷いて座る。鉄瓶でお湯を沸かしてお茶を飲む。行きつけの食料品店は、なんと日本人の田中さんが経営する店で、亡き父と毎週通っていた。店内は音楽もかかっておらず静か、棚もきちんと整頓されていて、店内は混雑しない。アストリッドにとって、ストレスなく買い物できるのだろう。
田中さん役に日本人俳優（パリで活動するニシダ・アキヒロさん）がキャスティングされていて嬉しい！ でもなぜファーストネームが「アピュ」なのだ。どこの国の名前だ？
「消えた遺体」では、学会の昼食にフグの寿司が出て、犠牲者が。確か、フランスというかEUではフグは輸入禁止なのだが、それで「闇の食品業者」が暗躍という設定か。寿司弁当はいいけど、よりによってフグを出すなんて、マニアックだなあ。
シーズン２には、仏語のTatouageじゃなく「Irezemi」というエピソードがあるので、日本絡みかな。田中さん再登場か？
アストリッドの母マティルドを演じるのは、サラ・モーテンセンさんの実母エリザベス・モーテンセンさん。さらに、アストリッドに言い寄る科捜研のフレデリック役のブルース・テソールさんは、私生活ではサラさんのパートナー。以前、別のドラマで共演したとか。まるでBBC「シャーロック」みたいだな。俳優のパートナーや親がその役で共演するなんて。
まだ今後どうなるか分からないけど、安易に恋愛路線にならないのが良い。ヒロインたちに言い寄る男はいるけど、袖にされる。女性二人のバディぶり、友情に焦点が当たっている。
「社会力向上クラブ」のメンバーも、捜査に協力する。アストリッドが数人いるような感じか。
イケオジのガイヤールとアストリッド父は、どうか今後も回想シーンで出して欲しい。
来年５月に始まるシーズン２が楽しみだ。
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