目次
1:翻訳の通信講座で学ぶ
2:翻訳学校に通う
3:チェッカーとして働く
4:その他
第3回は「4:その他」として、チェッカー以外で、翻訳業務の未経験者が仕事を探す方法について書いてみます。
4:その他
・未経験者可の案件を探す
前々回もちらっと書きましたが、数は少ないですが、このような求人は見かけます。内訳はこんな感じ。
-高い専門性が要求されない分野、少量のもの
TRADOSなど翻訳支援ツールを使用しないもの
この辺りは、最近はクラウド翻訳に流れているという印象です。
反対に、大量の文書だと、何人も翻訳者やチェッカーを確保する必要があり、翻訳会社の出番となります。翻訳支援ツールを使用する場合も同様。
-特許や医薬など特定の専門分野
翻訳経験よりも、専門知識・用語に通じていることが望ましい場合。
-希少言語(マイナー言語)のため、できる人が少ない
-新人を育てたいというケース
オンサイト勤務で時々見かけます。最初はチェッカーやPM(プロジェクトマネージャー)、周辺業務から始め、徐々に社内翻訳を任せるなど。
【追記】
一部の翻訳会社で、社内研修制度を用意しているところがあります。翻訳支援ツールが必要な分野で、まずは社内でチェッカーなどを経験させ、ツールに慣れたところで在宅勤務に移ってもらいます。都市部に限られ、あまり数は多くありませんが、求人を見たことがあります。
・英語を使う周辺業務から入る
オンサイト勤務の場合、英文事務とか英語を使う周辺業務で簡単な翻訳を任されるケースもあります。
派遣の場合、事前に業務内容を確認しましょう。翻訳に多少なりとも携われる……と思っていたのに、実際は担当することがなかった、ということもあります。翻訳業務に限りませんが、「求人情報と違う!」ケースに注意を。
・ボランティアで経験を積む
無償ですが、経験を積むことができます。翻訳実績表に書いてもOK。
・知り合いからの依頼
過去の記事:仕事の依頼は、知り合いからも - 横文字の島
以上、翻訳業務の未経験者が仕事を探す方法を挙げてみました。もちろん、これ以外の方法もあるでしょうし、留学や海外駐在から帰国して、いきなりどーんと応募する方もいるでしょう。
反対に、あまりお勧めしない方法も書いておきます。
最近では「クラウドワークス」や「ランサーズ」など、単価の安い(安すぎる)翻訳の求人、いわゆる「クラウド翻訳」も見かけます。翻訳会社経由の求人と比べて、経験を問われなかったり、初心者には手を出しやすいため、「ここで経験を積んで翻訳実績表に書こう」と思う人もいるでしょう。
ですが、素人のお小遣い稼ぎには丁度良いのでしょうが、プロを目指す方にはお勧めしません。一度試しに挑戦してみるのは自由ですが、長居するところではありません。
理由は、翻訳料が激安だから。翻訳会社経由の案件と比べて単価が安すぎる。それでも、誤訳やミスは許されない。労力の割に報われない世界です。『翻訳というおしごと』(実川元子著)にも書いてありますので、一読をお勧めします
(記事:翻訳というおしごと 翻訳者に「未来」はあるか? - 横文字の島)。
【追記】
最近増えているのが、機械翻訳のポストエディター(後処理)の求人です。未経験者可のことが多いです。これについては経験がないので、お勧めするともお勧めしないとも言えません。ただ、同業者から聞いた話では「機械で英日翻訳したぐちゃぐちゃな文章を、人力で整える作業だが、はっきり言って、最初から人力で翻訳した方が早い」とのことです。人力翻訳の場合と同様、成果物には一定の品質が要求されますし、用語や表記規則は守らなくてはいけません。先ほどの同業者は「一回で懲りた」そうです。向き不向きがあると思います。
以上、3回にわたってつらつらと書いてきました。偉そーに書いてますが、私自身、今でも毎年どこかしらトライアルに応募しています。参考になれば幸いです。
【追記 2021年】
Togetterに翻訳学習者・初心者向けに「#どうやって翻訳者になったか」「#実績ゼロから翻訳者に」でアドバイスが出ています。2019年のまとめですが、これがまあ千差万別。興味のある方はご覧ください。長いです。