横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

映画 カラフルな魔女

「カラフルな魔女 角野栄子の物語が生まれる暮らし」
監督:宮川麻里奈
出演:角野栄子


 ジブリ映画にもなった「魔女の宅急便」など多数の作品で知られる、児童文学作家の角野栄子さんは御年89歳。カラフルなワンピースやアクセサリー、メガネを身に着け、それがグレイヘアによく似合っている。

 NHKで放送されている同タイトルの密着ドキュメンタリー番組があるが、そちらは未見。番組用に撮影した映像なのか、それとも改めて撮影した映像なのかはわからないけれど、映画として上映されるというので見に行った。

 

 自宅での仕事風景が出てきて、朝10時から夕方まで、昼食を挟んでぶっ通しで仕事をしている。すごい体力!! こっちは角野さんの子供世代なのに、体力・気力・集中力の衰えを感じてヒーヒー言っているのに。
 以前、JSHCの全国大会に出版翻訳家の大先輩・深町真理子さんがいらしたけれど、当時80代で現役だとおっしゃってた(余談だけど、深町さんの仕事風景も見たい)。


 角野さんは鎌倉在住で、ふらっと散歩に行く時の環境が最高。近くに海はあるし、神社仏閣はあるし、おしゃれなブティックに、行きつけのコーヒースタンドもある。散歩の帰りにエスプレッソを一杯飲んでいるところが、ミラノのバールに見える。明るい色のお洋服の角野さんが、なんだかミラネーゼに見えてきたぞ。あんな風になりたい……!
 
 ファッションも素敵だが、お部屋のインテリアもカラフルでセンスが良い。日本とは思えない。


 子供の頃に母親を亡くし、戦争で疎開もした、かなりの苦労人。24歳で夫と共にブラジルへ移住し、最初はなじめなかったのが、ご近所のルイジーニョ少年にポルトガル語を教えてもらい、少しずつブラジルの暮らしを楽しめるようになる。その時の経験が、著書『ルイジンニョ少年』に結実する(今ならルイジーニョの発音かな)。

 歳月は流れ、ブラジルからルイジーニョことルイスさんが角野さんに会いに来る。SNSのおかげで消息がわかったという。60数年ぶりの再会。80代の角野さんの方が、大病をしたという70代のルイスさんより元気に見える。ポルトガル語訳を添えた絵本をプレゼントし、「魔法の文学館」こと角野さんが収蔵書をセレクトした児童文学館へ案内する。ここも自宅同様、大好きないちご色がベースになっている。

 ルイスさんとの会話に「シャーロック・ホームズが生き返らないと無理だよ」という言葉が出てきた。どんな流れだったか細かく思い出せないけど。

 この児童文学館、大人だけで訪れても良いのだろうか? とても気になる。


 角野さんを見て誰かを思い出すな~と思っていたが、「ソーイング・ビー」の審査員エズメじゃん! おかっぱのグレイヘア、これまたカラフルな洋服と大ぶりのアクセサリー(最近記事は書いていないけれど、今も「ソーイング・ビー」は見ている)。エズメから厳しさを取り除くと、角野さんになるのか~。

 当初、「ペット・ショップ・ボーイズ Dream World Tour」のライブ映画を見ようと思っていたが、夜の上映のみだったので断念。その代わりにと言ってはなんだけど(全然路線が違うがな)、なんだか元気を貰えそうな気がして、この映画を見に行った次第。
 元気を貰えた……かどうかわからないが、「魔女の宅急便」で使われたユーミンの曲を聴きたくなった。


 今度、この本を読んでみよう。