横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

萩尾望都SF原画展@高崎市美術館

 以前、東京・吉祥寺美術館で開催された展示が、群馬の高崎市美術館へ巡回。ちょうど他にも見たいものがあったので、猛暑の中、思い切って高崎まで行ってきた。

萩尾望都SF原画展 宇宙にあそび、異世界にはばたく | 高崎市

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 今回は、SF作品の原画が中心。やはり女性のお客さんが多かった。帰り際にようやく一人、男性とすれ違ったぐらい。

 入口のパネル前では、写真撮影OKでした。

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 萩尾さんの作品は「ポーの一族」とか(実家にある)、SF以外の作品を読んだぐらい。なのに原画展を見ようと思ったのは、以前Eテレの「漫勉」に萩尾さんが出演していたからだと思う。締切が過ぎていたので申し込まなかったけど、高崎での展示に合わせて、萩尾さんと「漫勉」のMC浦沢直樹さんとのトークショーも開催されたとか(関連記事はこちら:浦沢直樹展 - 横文字の島)。

 「11人いる!」はアニメ映画化された時、話題になった記憶がある。「半神」は高校生の頃、劇団「夢の遊眠社」の舞台を鑑賞したっけ。

 

 あまり先入観のない(というか、まったく知識のない)状態で展示を見たのだが、少女も少年もとにかく美形キャラばかり。これぞ少女漫画という感じ。目が大きくてキラキラしてて、それでいて中性的で大人びている。知らない作品ばかりなのに、見入ってしまった。

 今でも「すごい!」と思うけれど、発表当時は絵もストーリーも、あらゆる意味で読者や世間に大きな衝撃を与えたのではないだろうか。とても斬新だったはず。

 あと、SF小説の表紙絵や挿絵を担当していたこと。作品解説にもあったけど、日本で女性のSF読者を増やすのに一役買ったのは間違いないと思う。なんというか贅沢だなあ。

 「11人いる!」はミステリの要素もあったけど、歴史漫画「王妃マルゴ」も描いているけど、つくづく萩尾さんてSFの人だなあと実感。漫画や挿絵だけでなく、自ら木下司ペンネームでSF小説も書いたほど。これがたとえば「動物のお医者さん」の佐々木倫子さんだと、明らかにミステリ畑の人だと分かる(ミステリ作品じゃなくとも、ストーリーがミステリ的な展開だったり)。


 帰ってから、なんだか読みたくなって「11人いる!」を注文してしまった! 他の作品も気になるんだけれど、数が多いので、ちょっとずつ読もう。


 以下、余談。
 「ポーの一族」で<ギムナジウム>(寄宿学校)という言葉を初めて知ったという人、多いんじゃないかな。あーいう世界に憧れたのって、ワタシの場合、水上澄子さんの漫画の影響も大きい。ヨーロッパの中学高校が一緒になった男子校のお話をいくつか読んだっけ。ちなみに英国の<パブリックスクール>という言葉も、日本の女子には魔法のワードね。

 今、気づいた。田舎では「外国といえば米国」だった1970~1980年代に、ワタシがヨーロッパ志向になったのは、漫画の影響もあったのか。


 めったに電車に乗らないのに、よりによってこの日、行きの電車のダイヤが乱れた。実は高崎でもう一カ所、別の美術館に行こうと思っていたのだが、循環バス(本数が少ない)を逃し断念。でも、高崎市美術館横の旧井上房一郎邸(記事はこちら)を見学できたから、かなり満足度は高い。

 

【追記】

萩尾望都さんと浦沢直樹さんの対談の様子がアップされていた。

ポーの一族」の原画展、もしあったら見に行きたいぞ。

高崎での萩尾望都先生と浦沢直樹先生の対談レポート - ニュース:萩尾望都作品目録