横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

プラド美術館展

 都心に出る用事があったついでに、上野の国立西洋美術館プラド美術館展を鑑賞。

artexhibition.jp

 若い頃、ヨーロッパ各地を放浪して色々な国の美術館に行ったけど、画家の作品が一番揃っているのは、やはり母国の美術館。マドリードはおろかスペインには行ったことがなく、まとまった量のスペイン絵画を見たのは、ルーブル美術館のスペイン絵画の間だった気がする。今回は「初めて見る!」という作品も数多くあった。

 

 宗教画や、神話をモチーフにした裸体画は、この時代のヨーロッパ絵画あるあるなんだけど、「こういうテーマはお初かも」と思った作品が。

 それはムリーリョの描いた「小鳥のいる聖家族」という、ヨセフを中心に描いた絵。フランスとかカトリックの国だと、イエス・キリスト一家を描く時、聖母マリア崇拝が強くて、マリア中心になりがち。というか、フランスでマリアに光を当てた絵ばかり見てきた。それに対して、ヨセフを中心にするというのは意外な印象。スペインもカトリックの国なのに。

 解説によると

中世以来の伝統的図像と大きく異なる点は、従来年老いて付随的存在でしかなかったヨセフが、壮年男性として家族の中心に座している点です。これは17世紀のスペインに特有の図像で、対抗宗教改革期の同国におけるヨセフ信仰の高まりを反映するものです。

とある。

 

 ポスターにもなった<カルロスくん>こと「王太子バルタザール・カルロス騎馬像」はベラスケスの作品。幼い子供なのに、お馬の上で「どや!」という顔をしているのがかわいい。でも年表を見たら、この子は16歳の若さで亡くなっているのね。

 

 油絵の他に17世紀の書籍も展示され、中には「スペインのフェルナンド親王殿下のアントウェルペン入市式」のモノクロ画が。規模や状況は違うけれど、昔見た「女だけの都」という映画(ジャック・フェデー監督)を思い出した。17世紀初頭のフランドルにスペイン軍がやってくる話だ。


 マスコットとなったカルロスくんがかわいい。 

f:id:Iledelalphabet:20180318154615j:plain

 

 上野にちなんで、パンダと一緒に。

 あ、お馬さんが寂しそう……。

f:id:Iledelalphabet:20180318154659j:plain