「リザとキツネと恋する死者たち」Liza, the Fox-Fairy
監督:ウッイ・メーサーロシュ・カーロイ
出演:モーニカ・バルシャイ、デヴィッド・サクライ
2015年 ハンガリー映画
<あらすじ>
1970年代のハンガリー。ただし、なぜか共産主義ではなく資本主義だったという設定で、街にはメックバーガー(マクドナルドのもじり?)というハンバーガー店もある。
主人公のリザは、日本大使の未亡人マルタ田中の家に住み込みで働いている。壁には日本の歌手「トミー谷」(トニー谷のもじり?)のポスターが貼ってあり、ラジカセからは昭和歌謡が流れる。リザにだけはトミー谷の幽霊が見え、二人で音楽に合わせて踊る。
マルタの死後、遺言でリザが家を相続すると、周辺で不思議な出来事が起こり、彼女に恋した男は次々と死に至る。リザは、日本の伝説のキツネに取り憑かれたと思い込む。警察も捜査に乗り出し、ゾルタン巡査を送り込む――。
作中、へんてこな日本語の歌(もちろん、オリジナル)や台詞が聞こえるが、日本人観客には「そんなんあるかい!」な爆笑モノ。日本文化大好きなハンガリーの監督が、あれこれ詰め込んでいる。日本の「那須」が漢字字幕と共に出てくるんだけど、いやあれ、明らかにハンガリーで撮影したでしょ。
女主人が亡くなり、自由の身になったリザが婚活に励むのだが、地味な女子から美女に変身した後のメイクと衣装の雰囲気が、1960年代のカトリーヌ・ドヌーブっぽい。
なぜか不死身のゾルタン巡査はフィンランド歌謡を愛し、昭和歌謡のリザ&トミー谷と対をなす。でも、フィンランド語の音楽のせいだろうか、ゾルタンの風貌のせいだろうか、どことなくアキ・カウリスマキ監督の作品を思い出した(もっとずっと明るいけど)。地味なお下げ髪のリザも、カウリスマキ映画のヒロインにどことなく似ている。
ああ、変な映画だったー!(←褒め言葉だよ!)
本作は、2015年にSKIPシティ映画祭で上映された。映画祭で鑑賞すれば、運が良ければ監督に質問できたかもなー。ツッコミどころ満載で、今、ワタシの頭の中には質問がいっぱいなんだけど。
トミー谷を演じたデヴィッド・サクライの、来日インタビューがあったので載せておく。
2015年のSKIPシティ映画祭で見た映画のレビュー: