お次は1999年に訪れた、パリの推理小説図書館。
名称は「Bibliothèque des littératures policières」(BILIPO)。定訳がないので、「推理小説図書館」としておく。推理小説に特化した図書館は世界的にも珍しく、BILIPO以外だと、東京の「ミステリー文学資料館」ぐらいかも。
公式サイト(仏語)
Bibliothèque des littératures policières (BiLiPo) - Paris.fr
Wikipedia(仏語)
Bibliothèque des littératures policières — Wikipédia
切手シートは32FF、ポストカードは6FFだった。まだユーロ導入前か!
切手シートには、ロカンボール、ルパン、メグレ警部、探偵ネストール・ビュルマ、ルールタビーユ、ファントマと、フランスの誇るヒーローが。
何ともユニークな世界最初のミステリ専門図書館だが、パリの市立図書館で、入場無料。1984年にパリ国立図書館からミステリ関連の蔵書9,000冊を移転したのが始まり。貸出はせず、閲覧のみ。
1996年には、フランス・ホームズ協会の主催でホームズ展が開催された。再びホームズ関連イベントを催す予定は当面ないとの事だが、いつも何かしら展示が行われているらしい。1999年2月には、ワインや料理に関するミステリのテーマ展だった。タイトルに料理や酒の名前が付いた小説や、美食家探偵の本(ネロ・ウルフ等)、小説に関連した怪しげなメニュー(毒入りスープとか)、ワインボトルが飾られていた。
<フランス・ホームズゆかりの場所>「ホームズの世界 22」所収(1999年)より
紙面の都合で掲載できなかった、美食にまつわるミステリの展示
書籍コーナーは小説、批評、TV・映画、マンガ等に分類されている。蔵書にはミステリ、国際スパイ、テロ、薬物犯罪、武器、警察関連の書籍が含まれる。今世紀初頭からの出版物が揃っているという。仏語が多いが、英語等もある。総蔵書数40,000冊、うちコナン・ドイル&ホームズ関係文献は50冊で、「Sir Arthur Conan Doyle」の札が付いた本棚まる1つ分を占めている。
コナン・ドイルとホームズの本棚
雑誌コーナーも充実しており、復刊された「The Strand Magazine」や「EQMM」といった世界中のミステリ雑誌の他、ミステリ愛好家団体の機関誌も置いてある。雑誌・機関誌は全75種類。マガジンラックには最新刊しか置いてなかったが、奥にはバックナンバーが揃っているらしい。警察の機関誌まで置いてあったのにはさすがに驚いた。確かに、”推理小説”の仏語”roman policier”は警察”police”から来ているが……。
この他パンフレットによれば、表紙イラストのスライド、ポスター等、マニア垂涎もののコレクションが眠っているらしい。資料は有料でコピーも出来るが、何せこの蔵書数である。いくらコピーしても足りない。読破するにはパリに住むしかないようだ。司書カウンターでは、ルパンやメグレをあしらった切手シート、絵葉書を販売している。
うむ。記事でしっかり説明してあるから、補足が不要だな(笑)。
下記の記事に、BILIPOのことが出てくる。
第2回 フレンチミステリーの魅力ってなあに?(執筆者・高野優) | 翻訳ミステリー大賞シンジケート