横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

キツネのめいたんてい

「キツネのめいたんてい」Joakim Rav, Diplomerad Detektiv

インゲマル・フィエール

学研小学生文庫(塩谷太郎訳)

 

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 こちらは実家から引っ越す時に持ってきた本。子供の頃、学研の「学習」「科学」を毎月とっていた覚えがある。その関係で、こういう学研の読み物全集がうちにあったんだと思う。うちの親は「勉強しなさい!!」とか言うようなタイプではなかったのに、なぜかこういう本はあったという。

 

 塩谷太郎さんはドイツ語の翻訳者なので、スウェーデン語の原書のドイツ語版から和訳したものらしい。最近ならともかく、昔は北欧言語のできる人は少なかったし。

 

 見るからにホームズ風の主人公、キツネの探偵は「コンテイ」、そのワトソン役となるイタチは「チャカリン」。コンテイは探偵のもじりとして、チャカリンはもしかしたらチャップリンのもじりだろうか?

 

 

 主人公は通信教育で私立探偵の勉強をして、晴れて卒業すると、「まずは形から」とばかりに帽子、マント、パイプなどを揃える。明らかに、シャーロック・ホームズを意識しています。最初はテキストで片眼鏡(モノクル)をつけることが推奨されていたのですが、そうなると別のキャラクターになってしまう……アルセーヌ・ルパンとか……。結局、モノクルをつけるのは難しいので断念する。森の中の小さな町ではなかなか事件が起こらず、依頼人もすぐには現れず……。

 

 ふと、「何歳の時にこれを読んだんだ?」と気になり、奥付を見ると、小学校3~4年生の頃。小学校の図書室でポプラ社シャーロック・ホームズ・シリーズに出会うのが6年生の時なので、それより先にこの本に出会っていた! 「ホームズ的なもの」「探偵もの」への興味は、この頃に植え付けられたのかも。

 

 実家の本棚や押し入れを捜索すると、イイ物が見つかるかもしれませんよ。

 

 この本は後に「現代子ども図書館」シリーズからも出ていて、そちらの表紙はまったく違います。興味のある人は検索されたし。