横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

かもめ食堂

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かもめ食堂
監督:荻上直子
出演:小林聡美片桐はいりもたいまさこ

<ストーリー>
 ヘルシンキの街角にある「かもめ食堂」。日本人のサチエが経営するが、なかなか客が入らない。日本好きの青年トンミがやって来て「ガッチャマンの歌詞を教えて下さい」と言われるが、思い出せない。書店で日本人旅行者のミドリを見かけ、思い切って声をかけると、歌詞を教えてくれた。やがてミドリも店を手伝い始める。
 頑なに日本食のメニューを変えないサチエだったが、フィンランドの定番メニューのシナモンロールを焼くと、それを機に少しずつ客が入ってくるようになる――。

 

 2006年の劇場公開時に見に行った映画。ちょうどAmazon Primeで配信中だったので、10数年ぶり、2度目の鑑賞。日本の女性たちの間に北欧ブームというかフィンランドブームを引き起こした伝説の(?)映画である。ちなみにワタシはまだ北欧に行けていない。

 2度目の鑑賞なのでレビューではなく、思いついたことだけ綴る。

 マサコさんが「服を買いに行きます」と出かけた先はなんとマリメッコのショップ! その後、着ていた素敵なワンピースもマリメッコ! うらやましい! お店や自宅の食器はイッタラ!(エンドロールの協力会社に名前が出ていた)これまたうらやましい! 何気にミドリさんのマグカップムーミン! 

 どれも日本で買うと高いのよ~!


 2006年当時はサチエの「やりたくないことはやらない」という言葉が深く突き刺さった。まだ会社員だった頃で、やりたかった仕事に就いたはずが、実際はやりたくないこともいっぱいあって……という日々だったし。この台詞、誰かにとって座右の銘になるんでは?

 今回印象的だったのは、航空会社に紛失されたマサコさんのトランクが見つかって、久しぶりに開けてみたらキノコが入っていたというくだり。それまで必要だと思っていたものが、実はそれほど必要ではなかったという象徴らしい。さりげないけど、なんとも哲学的。


 2006年は、金曜日のレディースデーにシネスイッチ銀座まで、会社の同僚と一緒に見に行った。場内は女性で満員。とにかくお腹の空く映画で、仕事帰りというのもあり、映画館を出るなり英国パブに入り、あれこれ注文しまくったっけ。すごい勢いで注文したから、テーブル代わりの樽には料理が乗り切らなくて、店員さんが「後でもう一度お持ちしますね」と言ってくれたっけ。

 もし、映画館の隣に屋台でもいいからおにぎり屋さんがあれば、バカ売れしたはず。


 女性たち3人がおにぎりを手際よく作る場面が、見てて気持ちいい。後日読んだインタビューでは、演じている女優さんたちは、炊き立ての熱いごはんを握るから大変だったとか。でも、画面のこちらからは、みじんもそんな事を感じない(プロってすごいな!)。

 フィンランドという土地柄のせいなのか、カウリスマキ監督の映画にも通じる空気感が漂っているなあと思っていたら、以前のカフェの経営者役のマルック・ペルトラは、アキ・カウリスマキ監督の『過去のない男』に主演した俳優だという。


 2度見ても、前回と同じ感想を抱いた部分もある。
 「ガッチャマン」の歌は、小学校の遠足のバスで替え歌を皆で歌ったら、たった1回きりなのにその替え歌の歌詞で覚えてしまって、正しい歌詞はスコーンとどこかへ追いやられてしまった。たとえば「地球はひとつ 鏡に映せばふたつ」みたいに。昭和キッズなのに、歌えないという……。

 女性の酔客に杯を勧められて(ウォッカみたいな強い酒)、マサコさんが応じるところがカッコいい! んで、その酔客とコミュニケーションをはかるのだが、フィンランド語が話せないのに意思疎通ができるってすごい(でもいるよね、そういう人)。


 この映画が気に入った方には、ドラマ「パンとスープとネコ日和」がお勧め。アラフォー編集者(小林聡美)が実家で母が営んでいた飲食店を、サンドイッチカフェに改装して再スタートを切る。 

パンとスープとネコ日和 DVD-BOX

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  • 発売日: 2014/01/15
  • メディア: DVD
 

 
 ドラマに登場した卵焼きサンドは自宅でも再現できるので、時々作っている。

 そういえば「パスコ」のCM、以前は小林聡美さんでしたね。他の女優さんたちも素敵なんだけど、またゲストとかで小林聡美さん出演してくれないかなあ。