横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

翻訳というおしごと 翻訳者に「未来」はあるか?

「翻訳というおしごと 翻訳者に「未来」はあるか?」実川元子著 アルク

 

 
 翻訳者/ライターの実川元子さんが、実務・出版・映像と分野を超えて、活躍中の翻訳者にインタビューしたもの。これから翻訳者を目指す人には、ぜひ参考にしてほしい一冊。翻訳のスキルアップの部分はもちろん、報酬のところも。

 私自身、翻訳会社勤務を経てフリーランスで実務(産業)翻訳を始め、出版翻訳も少しばかりかじっているけれど、医薬など他分野は未知の世界だし、映像翻訳もまた然り。第一線で活躍する先輩翻訳者の貴重な経験談がありがたい。

続きを読む

東京田園モダン

「東京田園モダン」三浦展著 洋泉社

東京田園モダン

東京田園モダン

 

 
 本書は雑誌「東京人」の連載で、東京23区の郷土博物館の資料をもとに大正・昭和の東京郊外の変遷をまとめたもの。工場が集まる下町エリアや、西部の高級住宅街が、いかにして現在のような形になったのかが分かる。

 北区・王子の飛鳥山公園は花見で行ったことがあり、興味深く読んだ。現在の滝野川からは想像がつかないが、かつて江戸の一大リゾート地だったとは! 江戸時代に考古学者シュリーマンや、プラントハンターのロバート・フォーチュンといった外国人客が王子界隈を訪れていたのはびっくり。料亭「扇屋」は、玉子焼きの専門店として現在も続いていて、何度かテレビで紹介されたことがある。

続きを読む

カッサンドル・ポスター展 グラフィズムの革命

www.pref.spec.ed.jp

 アドルフ・ムーロン・カッサンドル(1901年~1968年)はウクライナにルーツを持つ、フランスのグラフィックデザイナー。数多くのポスターをデザインした。

f:id:Iledelalphabet:20170305145206j:plain


 彼の名前を知らなくても、沢木耕太郎深夜特急」の表紙を描いた人と言えば、「ああ、あれか!」と分かる方も多いのでは? 表紙で見覚えのあるポスターが見られます。

 100年ほど前の船、鉄道など、旅が高速化した時代が象徴的に描かれていて、なんだかポスターを見ているだけで、旅心を刺激される。

続きを読む