横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

ニキータ

ニキータ
監督:リュック・ベッソン
出演:アンヌ・パリロージャン=ユーグ・アングラードチェッキー・カリョ

 

 テレ東で放送していたので、副音声のフランス語、字幕付きで視聴。1990年の映画で、約30年ぶり二度目の鑑賞。

 今改めて見ると、キャストが豪華。訓練所でヒロインに化粧を教えるアマンド役が大御所ジャンヌ・モロー。フランス女のエレガンスを体現する。出番の少ない「掃除人」ヴィクトル役がジャン・レノ。この頃は、まさかハリウッド映画「レオン」を契機に、ジャン・レノがあんなにブレイクするとは思わなかった。

 アンヌ・パリローのプロフェッショナルぶりがすごい。殺し屋になってからのニキータが、腕や背中にしっかり筋肉がついていて、「相当鍛えたんだな」と分かる。あと、銃の組み立ても手慣れていて、映画評論で「相当練習したはず」と書かれていたっけ。ジャンキー役を演じるにあたって、路上生活を送ったというのも昔インタビューで読んだ。
 「ニキータ」はハリウッドでもリメイクされたが、闘うヒロインのレベルがこの映画で格上げされた気がする。レストランでボブから「誕生日祝いだ」と渡された箱を開けた時の、ニキータの表情が印象に残る。


 そして、久しぶりに見た教官ボブ役のチェッキー・カリョは、やっぱりカッコよかった!!! 日本公開時は自分はまだ大学生だったと思うが、「この俳優さん、カッコいいじゃん!」と注目していた。
 鬼教官、後に任務の連絡係だが、ボブの愛情というのがピンと来なかった。今回見返してみたが、漫画「エースをねらえ」の宗方コーチみたいなものか??

 

 数年前に、アニメ「名犬ジョリィ」の原作が実写映画化され、「ベル&セバスチャン」という題で公開されたけど、セバスチャン少年のおじいさん役がチェッキー・カリョだった。キャストを見て、「あたしのボブが(←オイコラ)、おじいさん役ですと……!?」と驚いたなあ。

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   犬と少年がかわいいので、今度見よう。

 

 二度目の鑑賞でも、やっぱり分からなかった箇所が。
 最後にヒロインが姿を消し、ボブがマルコの部屋にやってくる。ボブに宛てた手紙もあったが、マルコは破り捨ててしまった。ボブは内容を尋ねるが、マルコは言わない。だが、向かいに座るボブは微笑むのだ。笑顔の理由は? 手紙の内容は? そして、ニキータはその後どこへ行ったのか? 観客は想像をかき立てられる。


 ジャン=ユーグ・アングラード演じるマルコは、過去のあるニキータを受け入れる。当時「こんなソフトな男性がいるなんて」と驚きだった。「ベティ・ブルー」でも激しい女性の恋人役で、かなり新しい男性像だったと思う。ジャン=ユーグ・アングラードは最近の「シンク・オア・スイム」にも出演していた。

 テレビなので、あちこちカットされている場面が。マルコがソファから、隠されていた銃を発見してしまう場面、残しておいて欲しかったな。あの場面がないと、なぜ正体に気づいたのか、説明が足りない。

 

 銃撃戦の場面は、パリ・リヨン駅の老舗レストラン「ル・トラン・ブルー」で撮影されたという。パリ・リヨン駅からTGVに乗る時、「ここかあ~」と横目に見ながら通ったっけ。あいにく、中に入る機会はなかったけど。