横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

英国大使館で献花



 先日、都心へ出たついでに英国大使館に行き、献花をしてきました。

 May Her Majesty the Queen rest in peace.

 

 記帳の方は長蛇の列ができていたので、お花だけ置いて、すぐに立ち去りました。


 今から25年前、私は英国に語学留学をしていました。フランス語の学校が5月に終わると、ヨーロッパをふらふらと放浪し、最後にユーロスターで英国に渡り、サマーコースを受講しました。
 8月末に学校が終わり、9月下旬に日本へ帰る直前まで、英国内をあちこち旅行しました。ホームズやアーサー王伝説ゆかりの地を回っていました。

 ある朝、ホテルでテレビをつけると、なぜかどこの局もダイアナ妃のことばかり報道していました。「いったい何事??」と思っていたら、キャスターが、パリでダイアナ妃が事故死したと告げました。後で、フランスに残っていた留学仲間に聞くと、フランス国内でも大きな騒ぎになっていたそうです。

 ショックを受けたものの、旅行中だったため、そのまま旅を続けました。日本の昭和天皇崩御の時のように、あちこちの機関が止まる、といったことはありませんでした。
 グラストンベリー修道院を訪れた時は、ダイアナ妃の葬儀のテレビ中継を見るための大型野外スクリーンが準備されていました。
 でも、ウェールズのお城に着いた時は、臨時休館で門が閉まっていました。街から街へと移動中のうえ、スマホもない時代で、そういう情報が入手できなかったのです。「元」とはいえ、ダイアナ妃は「Princess of Wales」ですから、臨時休館も当然の措置なのでしょう。閉ざされた門の前には、たくさんの花束が置かれていました。
 手元の「地球の歩き方」を見ると、その日の「午後2時まで休館」と書き込みがあります。確か、午前中だけお城を観光して、午後には別の街へ移動する予定だったと思います。街の中心部に花屋はありましたが、閉まっていました。お花を買うのは諦めました。


 先日英国大使館へ行ったのは、エリザベス女王だけでなく、あのとき献花できなかったダイアナ妃の分も……という気持ちもあったかもしれません。