横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

エドモン・ロカールの漫画

 

 リヨンで発行されている月刊の漫画雑誌「Les rues de Lyon」では、リヨン周辺の歴史、有名人、逸話などを毎回テーマに取り上げている。

 

 エドモン・ロカールの没後50周年にあたる2016年の3月号では、「L'empreinte d'Edmond Locard, le véritable Sherlock Holmes」(エドモン・ロカールの痕跡:実在のシャーロック・ホームズ)の題でエドモン・ロカールを特集している。テキストを担当したのはフランス・ホームズ協会のJean-Pierre Crauserさん、漫画は編集メンバーでもあるKieranが手がけている。

www.babelio.com


 漫画は12頁ほどで、ウェブ上で読める。

fr.calameo.com

 エドモン・ロカールがリヨン警察の副総監カコーとビリヤードを楽しみながら、リヨンに科学捜査研究所を作りたいと話す場面で始まる。
 その後、ロカールおよびリヨン科捜研が手がけた事件の数々が紹介される。初めて鑑定を依頼された事件では、現場に残った指紋を決定的証拠として犯人を有罪にしたこと。若い女性が殺害された事件では、婚約者の男の爪から白粉を取り出し、アリバイを崩したこと。
 かの有名な「チュール事件」では、住民を中傷する手紙の差出人を筆跡鑑定で特定したこと。この事件は後に映画監督のジョルジュ・クルーゾーが「密告」(フランス語では「Corbeau」つまりカラス)の題名で映画にしたこと。それを踏まえてか、雑誌の表紙では、ロカールの頭上にカラスが乗っている。

 最近になってエドモン・ロカールが話題に上ったきっかけは、米国ドラマ「CSI:マイアミ」(フランス版は「L'Expert」の題名で放送された)。漫画にも、主人公であるマイアミ・デイド署CSI(科学捜査班)のチーフ、ホレイショ・ケインがちらっと出てくる。最後のコマは、リヨン郊外に移転した現在の科捜研で締めくくられている。

 

 「CSI:マイアミ」の中で、ホレイショ・ケインが何度か「ロカールの法則」にふれる。一部抜粋する。

http:// https://www.imdb.com/title/tt1491723/characters/nm0698346

Steve Bowers : Why do you want my shirt?
Calleigh Duquesne : Because every contact you make, no matter how small, will leave a trace.
Lieutenant Horatio Caine : It's called Locard's exchange principle.

 

 

といった具合に。
これはほんの一部で、英語でググると、マイアミの科学捜査官たちがロカールを引用する台詞が見つかる。