以前、「24アワー・パーティー・ピープル」という映画を見た。オアシスの記事(こちら)でふれたけど、マンチェスターに実在したクラブ<ハシエンダ>の話で、サントラも買った。
サントラの中でいちばん気に入ったのが、ニュー・オーダーの「ブルー・マンデー」(1983年)だった。
ニュー・オーダーの前身ジョイ・ディビジョンのヴォーカルだったイアン・カーティスが自殺を図り(それも米国進出を目前にして)、その後キーボードのバーナード・サムナーがヴォーカルとなり、ニュー・オーダーとして再出発した。
1980年代初頭の、シンセサイザーを駆使したエレクトロ・ミュージックの先駆けとなり、デビュー前のペット・ショップ・ボーイズがラジオでこの曲を聴いて「先を越された!」と言ったとか。
コロナ禍で延期になっているが、ペット・ショップ・ボーイズがニュー・オーダーとツアーを予定している。同時代のバンドだし、シンセサイザーや打ち込みを使ったり、目指している音楽の路線とか、元々近かったのだろう。
さて、1980年代、ニュー・オーダーのバーナード・サムナーが元ザ・スミスの名ギタリスト、ジョニー・マーと、サイド・プロジェクトとしてエレクトロニックを結成した。色々なゲストを迎えているが、ペット・ショップ・ボーイズのニール・テナントも参加していた。
Electronic「Getting Away With It」(1989年)
この曲ではニールはバックコーラスとしての参加だが、別の「Dispappointed」ではメインヴォーカルを務めている。エレクトロニックとして三人で音楽番組にも出演している。「The Patience of a Saint」という曲はクリス・ロウが手がけていて、歌っているのはバーナードだけど、音ががっつりペット・ショップ・ボーイズ! 知らずに聴くと「あれ?」と混乱しそう。
「Getting Away With It」だけど、やっぱりイギリスの音楽って、こういうマイナー調の曲がハマるよね。PVではニールがセーター姿なので、たぶん秋冬の収録。きっとイングランド北部のマンチェスターは曇天続き。そんな空の色に合っている。
歌詞は、ザ・スミスのモリッシーのことを歌っていると言われるが、同時に、自分に自信のない若者の「きみ」に向けたラブソングにも聞こえる。「I love you more than you love me」の部分とか。
上のビデオ(1989年)では、皆アラサーの若者だ。バーナードの歌い方だと、「自信持ちなよ!」と背中を押したくなる。内向的な歌詞は、ニールの書く歌詞にもどこか通じる。皆で曲を書いたというが、どの部分が誰のアイデアだったのかちょっと気になる。
さて、2013年、ギタリストとしてあちこちのバンドを渡り歩いていたジョニ―・マーが、ついに自身のバンドを結成し、ヴォーカルを担当した。エレクトロニックと全然違う! ギターたっぷりだし、完全にロックになっていて、ものすごくカッコいい!
Johnny Marr「Getting Away With It」(2014年)
そういえば、私はギターも好きなんだったと思い出したよ。デュラン・デュランからパワー・ステーションに行った時のアンディ・テイラーとかね(こちら)。
上記の部分を書いてから、ジョニー・マーのインタビューを見つけた。エレクトロニックのアルバム発売30周年記念ですと。曲作りの裏側も語っている。
気になる歌詞は、やはりニールが書いていた! 「I hate that mirror」みたく自虐……ゲフンゲフン、内向的な感じがして、なんとなくそんな気がしたのだ。謎が解けてすっきりした。