横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

小曽根真ソロライブ 2020

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 ここ数か月の間、イベントがことごとく中止になり、ようやく久しぶりにコンサートホールへ。とはいえ、川口リリアのサイトを見ていると、中止・延期になった催しもあり、直前に「クラシックコンサートなどの参加者らが歓声・声援を発しない内容のものについては、収容人数100%に緩和された」という発表を見つけて「ああ、このライブは開催される」と、ようやく安心。

 

 前回(記事はこちら)だと、小曽根さんは客席の間を通ってお客さんとハイタッチという登場の仕方だったけれど、今回はさすがに舞台袖から登場。小曽根さんの第一声が「ようこそ!」。でも埼玉県民としては「いえいえこちらこそ、埼玉のコンサートホールまでようこそ!」という気持ち。

 セットリストはこちら。「密」を避けるため、ホールに掲示せず、後からWebにアップされたもの。

M.Ozone : Gotta Be Happy
Bill Evans : Waltz for Debby
M.Ozone : Dues
A.Scriabin : Prelude a-minor op.11-2
M.Ozone : Always Together
**
M.Ravel : from Concerto 2nd movement G-dur
M. Ozone : Flores do Lirio
D.Kuruwa : Longtemps トランペット:曲輪大地
M. Ozone : Flight

Encore:
M.Ozone : Reborn パイプオルガン: 武本和大


 これを見て「あれ、今回はソロライブでは?」と思われた方もいるのでは。

 実は、小曽根さんが国立音楽大学で指導していた生徒さんたちが、卒業して留学しようとした矢先に渡米できなくなったり、あるいは海外で武者修行していたところへ帰国を余儀なくされて……。欧米ではまだまだライブハウスやコンサートホールでの公演は厳しいけれど、日本なら徐々に再開されつつある。

 ということで、小曽根先生が教え子である若手演奏家たちを連れてきたという次第。セットリストには載っていないけれど、開演前にはパイプオルガンの演奏もありました。

 「Longtemps」というフランス語の題名からうかがえるように、トランペット奏者の曲輪大地さんはパリで活動していたそう。目を閉じれば、ここはパリのコンサートホール(のつもり!)。季節が秋だからか、なんだか昔のモノクロのフランス映画のワンシーンのような心地がしました。

 アンコール曲ではピアノとパイプオルガンのセッションという、珍しい組み合わせ。迫力ある演奏でした。小曽根さんは「あれはハモンドオルガン!」と呼んでいたけど。

 川口リリアの音楽ホールのピアノはスタインウェイで、過去にも小曽根さんは「いいピアノですね~」と絶賛していたなあ。オルガンも気に入って頂けたようで、ここは是非、世界中のジャズピアニストの方々に弾きに来て頂きたいですわ。

 2曲目の「Waltz for Debby」は、時々、モニカ・ゼタールンドの歌ったバージョンを動画で聴いていて(記事はこちら)、私も好きな曲。ボサノバの「Flores do Lirio」では「皆さんをブラジルへお連れします!」ハイ、ブラジルの気分でした(どんなだ)。クラシックのスクリャービンラヴェルも、小曽根節が炸裂。


 緊急事態宣言の出ていた春先には、小曽根さんは自宅スタジオから連日生演奏をストリーミング配信されていたとか。演奏後には世界中からメッセージが届き、観客と緩やかにつながっていた状態。とはいえ、演奏会の再開後、関東圏では「満員になったのは川口リリアが初めて」とのことで、感慨深げ。そう、この日の川口リリアでは、客席を空けずに着席したのだ(私は通路側の席だったのに加えて、隣は空席だったが)。

 本来、演奏中の写真撮影は禁止なのだけれど、アンコール終了後には、パイプオルガンの席から武本和大さんが舞台上の小曽根さんと曲輪さん、そして観客席を記念撮影するという、前代未聞の光景が! 演奏者にとっても観客にとっても、忘れられないひとときとなりました。

 少しずつ、また各種イベントに行けたらいいな。

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