ヨーロッパの墓地は広くて明るくて、ちょっとした観光地になっていたりする。
パリ郊外にあるペール・ラシエーズ墓地は、合計3回訪れている。1回目は、バラの花をエディット・ピアフの墓に供えた(たぶんその頃、伝記を読んだのだろう)。2回目は洋楽好きの友人と一緒で、ジム・モリソン(元ドアーズ)のお墓に。3回目は、夏休みシーズンに行ったのでガイドが立っていて、日本人観光客(私らのことだ)を見つけるや否や、「はいはい~、ジム・モリソンのお墓はこっちだよ~」と案内された。いや、アタシ、前にもそれ見たんですけど……。
ペール・ラシエーズ墓地の地図
観光スポットから離れた郊外にあるこの墓地には、キュヴィエとベルティヨンの墓がある。隣の花屋で地図を買うと、有名人の墓の場所が書いてある。キュヴィエの墓は地図ですぐ見つかったが、ベルティヨンの方は地図に書かれていなかった(後日、89区にある事を確認)。オスカー・ワイルドの墓も見つけたが、墓石にはなぜかキスマークがいっぱいついていた。サラ・ベルナール(『リオ連続殺人事件』に登場した女優)の墓の隣には、ルパン家(famille Lupin)の墓があった。
<フランス・スイス旅行記>「ホームズの世界 25」(2002年)より
博物学者キュヴィエの墓
「オレンジの種五つ」に、フランスの博物学者ジョルジュ・キュヴィエ(1769- 1832)の名前が出てくる。キュヴィエの方は墓地の地図に載っていたが、ベルティヨンの方はそこまで有名人じゃなかったのか、載っていなかった。「地図を見れば分かるだろう」と当て込んでいたのでちょっと慌てた。
ネットで見つけた、ベルティヨンの墓はこちら。
Fichier:Père-Lachaise - Division 89 - Bertillon 01.jpg — Wikipédia
オスカー・ワイルドの墓
ホームズというよりコナン・ドイルと同時代人で、面識もあった作家オスカー・ワイルド(1854-1900)。ホームズ・パスティーシュにもちょいちょい名前が登場する。実は、パリで客死していた。会報ではモノクロ写真だったけど、カラーで見るとご覧のとおり。誰がこんなに口紅付けたんだ……。
サラ・ベルナールの墓
フランスの女優サラ・ベルナール(1844-1923)は、ソアレス『リオ連続殺人事件』というホームズ・パスティーシュに登場する。同時代を舞台にしたピーター・ラヴゼイのミステリで、エドワード皇太子がアマチュア探偵役を務める『殿下とパリの美女』にも登場する。
彼女の名前は日本だと、ミュシャのポスターの方が有名かな。サラ・ベルナールには個人的に興味があって、フランソワーズ・サガンの書いた伝記も読んだし、ブルターニュの別荘も見に行った。
ちなみに、パリではモンパルナス墓地にも3回ぐらい行っていると思う。うち1回は、仏文科の学生らしく、サルトルとボーヴォワールの墓を見に行った。その次は、洋楽好きの友人(前述のジム・モリソンのお墓参りをした人)とセルジュ・ゲンズブールのお墓参りをした。なぜか彼のお墓にだけ、メトロの切符がたくさん置いてあった。今、この記事を書くために確認したら、「リラの門の切符切り」という歌にちなんでいるとか。
パリには他にモンマルトル墓地がある。なぜか、ここへは一度も行ったことがない。オラス・ヴェルネ(ホームズの祖母の兄かも?)とか、ジャン=バティスト・グルーズ(モリアーティ教授も好んだ絵の画家)とか、文学者とか、また別の著名人の墓があるんだが。