横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

6才のボクが大人になるまで

「6才のボクが大人になるまで」Boyhood
リチャード・リンクレイター監督
出演:エラー・コルトレーンイーサン・ホークパトリシア・アークエット
2014年 アメリカ映画

 

 アカデミー賞ほか、多くの映画賞を受賞した話題作

 6歳の少年メイソンが18歳になるまで、12年間をかけて撮影した物語。
子役の成長はもちろん、両親役の俳優も一緒に年をとりながら撮影している。両親の離婚、再婚、初恋、写真への情熱など、少年時代(Boyhood)を描く。

 両親の離婚で、メイソンと姉は母と一緒に暮らし、ときどき父親と週末を過ごす。母親は再婚したり、他の男性と同居したりするのだが……教師としては優秀なのに、男を見る目がなさすぎ! 再婚相手とは離婚するし、同居した男も、最後のパーティーにはいなかったから追い出したのだろう。

 

 最初のパートナーだった、子供たちの父親が一番まともだった気がする。若くして結婚、出産を経験したため、お互いが大人になりきれず、不和にいたったのだろうけれど、子供たちにはいい父親だった。

 イーサン・ホーク演じる父親は、音楽をやりたかったけれど諦めて、保険会社の仕事についたという設定。若い頃の同居人だったミュージシャンのジミーが最後に再登場し、「あのメイソンがこんなに大きくなったのか!」と、ステージから音楽を届ける。「この人、いい味出してるな~」と思いきや。調べてみると、チャーリー・セクストンが演じているではないか! 相変わらず足が長いわ~。

 チャーリー・セクストンはテキサス出身のミュージシャンで、1980年代に10代でスターになった人。当時から長身痩躯に長い黒髪で、日本にも来たことがある。「チャリ坊」と呼ばれていたっけ。洋楽小僧だった私は、この人のライブを見に行ったこともある。「Beat's So Lonely」が大ヒットした。なつかしいのう。

 12年という年月の間、子供たちが「ハリー・ポッター」発売日に行列したり、大統領選挙にオバマが出馬したり、大人から見ても「2000年代ってそういう時代だった」と思い出させる。

 父親役のイーサン・ホークは同年代なので、若い頃から映画を見てきて、かっこいい姿をよく知っている。それだけに、最後にメイソンの高校卒業パーティーの場面で、ガクッと年をとっていて「えええっ!?」。だって、まだ40代前半でしょ? 老けるには早すぎないか? 母親役のパトリシア・アークエットも、若くてきれいな頃を他の映画で見てきたので……えーと、ふくよかすぎません? 二の腕ぱつんぱつんですよ?

 同窓会に出てみたら、美男美女だった同級生が「うそ~ん!」なことになっていて、でも、当時ひょろひょろだったギター少年チャーリー・セクストンが、味のある素敵なミュージシャンになってて嬉しかったよ。そんな印象。