横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

アガサ・クリスティを訪ねる旅 鉄道とバスで回る英国ミステリの舞台

アガサ・クリスティを訪ねる旅 鉄道とバスで回る英国ミステリの舞台』
 平井杏子著 大修館書店 2010年 

 この本が出た直後に一度読んだが、最近「名探偵ポワロ」や「ミス・マープル」のドラマを視聴したので、再読。前回と違い、映像作品を全部見た後なので、作品のことを思い出せて、また場面や建物を思い浮かべるのがさほど難しくなかった。

 

 アガサ・クリスティはイギリス南西部のトーキーが故郷で、首都ロンドンを別にすれば、デヴォンやコーンウォールが作品の舞台になっている。「アルセーヌ・ルパン」シリーズの作者モーリス・ルブランが、故郷であるノルマンディー地方を舞台にしているのと同じように。

 今でこそ、高速道路や鉄道網が整備され、首都ロンドンへのアクセスが重要視されるが、それ以前は船での移動が中心で、海に向って開けたトーキーは、歴代の国王や権力者にとって重要な都市だったという。フランスへ向かう船も多く出港した。かつてはフランスのリヴィエラに負けない賑わいだっだとか。

 幹線道路の開発をまぬがれたある小さな村は、昔ながらの風情が残され、「ミス・マープルの村」と言っても、未だに通用しそう。

 日本人がイメージするイギリスは、戦前のイメージだと言われるが、それはポワロやミス・マープルの影響なんじゃないかと思う。本書の写真も「古き良きイギリス」という感じの場所が多い。


 1997年に英国をあちこち回ったけれど、ホームズとアーサー王伝説関連の場所ばかりで、トーキーには寄っていない(もったいない!)。ただ、当時は今みたく、事前にインターネットで調べることができなかった。情報がないままふらっと行っても、クリスティー関連の「ここは見ておけ!」という場所は見逃したかもしれない(そっちの方が悔しいかも)。

 

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