横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

推理作家コナン・ドイルの事件簿

「推理作家コナン・ドイルの事件簿」Arthur & George
出演:マーティン・クルーンズ、アーシャー・アリ
2015年

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 シャーロック・ホームズの生みの親であるアーサー・コナン・ドイルは、かつて自ら犯罪捜査に乗り出して、見事、冤罪を晴らしたことがある。「ジョージ・エダルジ事件」と、「オスカー・スレイター事件」である。

 

 この実話を踏まえて、英作家ジュリアン・バーンズ(『フロベールの鸚鵡』、『イングランドイングランド』)がドラマの原作となる小説『アーサーとジョージ』を発表した。エダルジはエイダルジという表記になっている(以下、こちらの表記で)。 

アーサーとジョージ

アーサーとジョージ

 

 

 ドラマでは、最初の妻ルイーズを亡くしたコナン・ドイルが、ジョージ・エイダルジから手紙を受け取り、捜査を通じて生きる気力を取り戻す姿が描かれる。牧師の息子で、事務弁護士になるほど聡明な青年だが、インド系であるがゆえに田舎では偏見をもって見られ、濡れ衣を着せられる。

 もともとジョージは視力が悪く、暗闇で動物を傷つけるような犯行は不可能だと、初対面から医師のコナン・ドイルは見抜いていた。事件の発生から数年が経過していることもあり、過去を掘り返すコナン・ドイルの登場は警察から露骨に嫌がられるが、脅迫状の筆跡を手掛かりに、再捜査を進めて行く。ジョージの家族や同級生にも協力してもらう。秘書のウッドがコナン・ドイルのワトソン役。

 

 やがて真犯人を見つけ、ジョージの汚名をそそぐ。

 ……のだが、ドラマを見てから「あれ、史実はどうだったっけ?」と確認すると、家畜殺しについての有罪は取り消されたものの、真犯人は捕まっていない。脅迫状の送り主も見つかっていない。どうもスッキリしない結末。


 このドラマも「Gyao!」で無料配信されていた。どこかの動画配信サービスの会員になったわけではないけれど、「Netflix廃人」の言葉が今はとても理解できる。延々と見続けてしまうよね……。