横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

刑事フォイル

「刑事フォイル」Foyle's War

主演:マイケル・キッチン

 

 動画配信サイト「Gyao!」で、ホームズもの以外にも色々と海外のミステリドラマを配信中。見逃していた「刑事フォイル」もあったので、いそいそと視聴する。ええのう、英国ミステリは。

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 第2次世界大戦時の英国が舞台。主人公のフォイル警視正は、イングランド南部のヘイスティングス署に勤務している。第1シリーズは1940年5月で、ちょうどチャーチルが首相に就任した頃。

 フォイル、運転手サム、帰還兵のミルナー巡査の3人で、チームのように事件の捜査にあたる。戦時中ではあっても人々の生活が営まれ、犯罪事件も起こる。戦争と絡んでいる事件もあれば、平時でも起こったであろう事件もある。

 主人公フォイルが寡黙で、「日本にもこういう男性いるよな~」という印象。空軍に入隊した一人息子を案じる父親としての姿や、戦場で左足を失ったミルナーを気にかけたり、等身大の存在。スーパーヒーローではないけど敏腕刑事。

 最初は「ついて行ってもいいですか?」と言うサムに「待ってなさい」と返していたのに、サムが機転がきき、捜査の役に立つことが分かると、車の中で事件の話をしたり、扱いが捜査仲間に格上げされたのが面白い。

 

 第2話「臆病者」では、漁師が船をフランスに出して、ダンケルクに取り残された英軍兵士を救出に向かう場面が出てくる。民間の船を使った救出作戦は<ダイナモ作戦>と呼ばれ、映画「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」にも出てきた。

 「50隻の軍艦」には、BBCラジオドラマ(ホームズのラジオドラマ)でシャーロック・ホームズを演じたクライブ・メリスンが出ていた。わくわく。

 脚本は、『絹の家』などの小説を発表したアンソニーホロヴィッツ。事件の容疑者は二転三転し、最後には意外な人物が犯人と分かる、ミステリとして秀逸なドラマ。


 以下、余談。
 ヘイスティングスイースト・サセックス州にあり、海辺では白亜の崖が見える。「シャーロック・ホームズの冒険」で、ホームズが引退の地に選んだサセックスイーストボーンにも近い。私がその昔英語留学したケント州にも近い。

 ちなみにフランスも結構近くて、フランスのラジオも受信できてしまう。ユーロトンネルができてからは英仏海峡の航路は廃止されてしまったけれど、それ以前に何回か船で英国からフランスに渡ったこともある。