横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

プロジェクト・グーテンベルク 贋札王

プロジェクト・グーテンベルク 贋札王」無雙
監督:フェリックス・チョン
出演:チョウ・ユンファ、アーロン・クオック

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 俺たちのチョウ・ユンファ兄貴が帰ってきた!
 それもハリウッドスターじゃない、香港映画界のスターとして。

 

 <ストーリー>
 1980年代、カナダ・バンクーバーのチャイナタウン。レイ(アーロン・クオック)とユン(チャン・ジンチュー)は画家の卵だったが、画廊のオーナー・ロクに評価され、個展を成功させたのはユンの方だった。芽の出ないレイは絵の贋作に手を染めるが、その腕前を見た”画家”(チョウ・ユンファ)にスカウトされる。彼の正体は、偽札造りだった。レイも一味に加わり、インクの調合など才能を発揮する。だが、一味の仕事は危険を伴うものだった――。


 【ちょびっとネタバレ】
 レイが収監されたタイの刑務所から香港警察へ身柄を移され、回顧する形で物語は進む。バンクーバー時代の10年後という設定なので、まだ香港返還の前だと思う。ちょうど1996年に米ドルが改定された頃。

 米ドル紙幣を造るための専用の用紙、インク、印刷機械の調達方法が詳しく、「これ、本当の犯罪集団もやってそうだなあ」と思ったら、実際にあった。下記サイトの「new 1996 US 100-dollar bill」(1996年の新米ドル)のリンク先を見ると、「Superdollar」(スーパーノート)と呼ばれる、北朝鮮による偽造米ドル紙幣が実在した。

en.wikipedia.org

 見終わって最後に感じたのは、女たちの悲しさ、だろうか。大事な人を失った女、愛を手に入れられなかった女の。

 それと、ラストで「ファイト・クラブ」を連想したのは私だけだろうか。途中、ところどころ「あれ?」という箇所があり、それがラストでつながる。

 大スターに美男美女が登場し、華やかなノワール映画だった。


 やっぱりこの映画の最大の魅力はチョウ・ユンファ
 二丁拳銃でドンパチやってる場面、部下であるレイに凄む場面など、犯罪組織のボスらしい冷徹なチョウ・ユンファも”らしくて”好きだけど、最初の方の、皆でご飯の買い出しに行く場面や、台所でエプロンしてる場面のにこやかなチョウ・ユンファもすごく好き。善人顔の悪人。「ゴッド・ギャンブラー」の、一張羅着てキリっとポーカーテーブルにつくところと、「チョコレート~!」って泣きべそかくところのギャップを思い出して、ギャップ萌えする。

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 カナダからやってくるリー捜査官役の俳優さん、初めて見たけど、台湾で活躍するワン・ヤオチン(王耀慶)さん(海外ではデヴィッド・ワン名義)というのね。潜入捜査の時のメガネなしの姿も良いけど、普段のメガネ&スーツ姿がすんごく素敵。
 ホー警部補じゃなくても惚れるわ~。
 要チェックやー(ペンをカチカチ)!(←「スラムダンク」)

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 某所に向かう前に「退勤後にデートしよう」って、フラグかよ…… 。゚(PД`q*)゚。

 メガネ&スーツ姿でこんなこと言われたら、もう他の男なんか眼中に(以下略)


 このブログを読んでいる方は「あれ、この管理人、フランス映画オタクじゃなかった!?」と思われるでしょうが、実は家族の影響で1980年代の香港映画、いくつか見てるんですね。レンタルビデオを一緒に見させられてね。あの頃の香港映画には、来る中国への返還を控えて「海外へ移住するかどうか?」で揉める家族というのが出てきた。

 その中で、チョウ・ユンファの「男たちの挽歌」、「ゴッド・ギャンブラー」なんかも見たのだ。
 香港返還後はハリウッドに進出して、「アンナと王様」(「王様と私」のリメイク)などに出演している。若い映画ファンにとっては、香港というよりハリウッドスターのイメージがあるかも。

 「男たちの挽歌」のジョン・ウー監督もハリウッドに進出して、「フェイス・オフ」を見に行ったらお決まりの<銃撃戦前の白い鳩>とか<メキシカン・スタンドオフ>とか出てきて、めちゃくちゃ嬉しかった覚えが。会社で同僚と「鳩出てきたね~!」「出てきたね~!」と盛り上がったわ。

 

 映画を見に行ったのは2月。

 この記事を書いてたら、「ゴッド・ギャンブラー」もう一度見たくなった。