「アンナ」より
昨年末、女優アンナ・カリーナが亡くなった。色々な作品に出演したけれど、日本で特に有名なのは、ジャン=リュック・ゴダール監督のミューズということだろうか。「気狂いピエロ」、「女は女である」、「はなればなれに」などなど、いくつもの作品に出演している。
以前このブログで紹介した「グッバイ、ゴダール」(記事はこちら)のアンヌ・ヴィアゼムスキーは、ゴダールの2番目の妻だが、その前にゴダールと結婚していたのがこのアンナ・カリーナ。ただし、彼女は離婚後もゴダールの作品に出演していた。
アンナ・カリーナは1960年代のファッション・アイコンで、映画のファッションもとにかくかわいい。ミュージカル仕立ての「アンナ」は、彼女の魅力が詰まっていて、透明のコート、丸いメガネとか小物もかわいい。確か、昔読んだ「ELLE」だか「マリクレール」だかでアンナ・カリーナの映画ファッションの特集をしてた記憶がある(インターネットの登場前、外国映画といえばハリウッド万歳の日本で、フランス映画の情報を得ようとすると、こういうフランス雑誌のお世話になったのだ)。
1960年代のフランスって、一人の女優にフィーチャーして、その魅力を前面に出した映画を撮っちゃうなんてすごいな(正直、ストーリーは無いに等しい)。ジェーン・バーキンとか、他にもアイコンがいるもんな。
訃報を聞いて、「そういや、まだ見てない映画けっこうあったなあ」と思い、遠方の図書館まで行って「アルファヴィル」を視聴してきた。うーん。SFであり、ハードボイルドであり、難解な哲学もどきであり、やたらと目が疲れる作品だった。AI(人工知能)が登場した21世紀に見ると、コンピューター<アルファ60>の支配する世界は、時代を先取りしているように思える。
無表情だったアンナ・カリーナが、物語が進むにつれて感情を表していくのがいい。彼女の美しさに救われた。でも、出会うなりナターシャ(アンナ・カリーナ)に「君を口説いてもいいかい?」って、レミー・コーション(エディ・コンスタンティーヌ)はチャラ男だったのか!? ピーター・チェイニイ原作のハードボイルドの主人公だし、もっと硬派かと思っていたんだが。
プールサイドでナターシャに挨拶していた若い男性が、ジャン=ポール・ベルモンドに似てると思たんだけど、確信はない。
近くの図書館では「女は女である」を所蔵しているので、今度はこっちも見てみようかな。
「はなればなれ」には有名な男女3人のダンスシーンがあり、後にハル・ハートリー監督の「シンプルメン」のダンスシーンにも影響を与えたという。男物の帽子を頭に載せ、タータンチェックで踊るアンナ・カリーナがキュート。