横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

フーディーニ&ドイルの怪事件ファイル

「フーディーニ&ドイルの怪事件ファイル」Houdini & Doyle
出演:マイケル・ウェストン、スティーヴン・マンガン
監督:スティーヴン・ホプキンス 

  20世紀初頭のロンドンを舞台に、“脱出王”の異名をとる超現実主義である伝説の奇術師ハリー・フーディーニと、“シャーロック・ホームズの生みの親”で心霊オタクの世界的推理小説アーサー・コナン・ドイル。お互いに超自然現象マニアでありながら真逆のポリシーを持つ二人が、時に反発し、時に協力し合いながら、20世紀初頭のロンドンで起こる超自然現象に絡んだ数々の怪事件に挑む。伏線が巧みに張り巡らされた事件が、2人を取り巻く個性豊かな面々を絡めて展開していく1話完結の推理エンターテインメントの決定版!
(日本語版公式HPより)

 

 現在、MXテレビで放送中のドラマ「フーディーニ&ドイルの怪事件ファイル」、毎週見ているけど面白い! 放送を知ったのは途中からだけど、1話完結型なので問題ない。ときどきシャーロック・ホームズ物語からの引用が出てくる。

 ボーア戦争が終わった後の20世紀初頭の英国が舞台で、女性巡査の登場や、民間人であるコナン・ドイルと米国人フーディーニが捜査に協力しているという設定がかなりぶっ飛んでいる。「シャーロック」や「エレメンタリー」みたいと思ってしまった。

 

 シャーロック・ホームズパスティーシュに、奇術師フーディーニを登場させたダニエル・スタシャワー『ロンドンの超能力男』がある。作者のコナン・ドイルの方とフーディーニが競演している作品に、ウォルター・サタスウェイト『名探偵登場』、ウィリアム・ヒョーツバーグ『ポーをめぐる殺人』などがある。

 コナン・ドイルは、「ジョージ・エダルジ事件」(1903年)、「オスカー・スレイター事件」(1908年)といった冤罪事件を捜査し、濡れ衣を着せられた2人を救っている。フーディーニは、自身が腕利きの奇術師だからこそ、いんちきな霊媒師のトリックを暴く「サイキックハンター」となった。そういった史実をふまえて、このドラマの設定になったのかな。

 

 「あれれー」と思った点。
 コナン・ドイルの最初の妻ルイーズ(愛称はトゥーイ)が昏睡状態という設定で、それゆえ捜査で霊媒師や、奇跡を起こす牧師だのに出会うと、「この人は本物だ。妻を助けてくれるかもしれない」と信じてしまう。そのたびにフーディーニが「インチキだ!」と騒ぎ、コナン・ドイルをいさめるパターン。確かに、コナン・ドイルは医師でありながら心霊主義に傾倒していたけど……。

 それと、ロンドン警視庁で女性警察官を採用したのは、第一次世界大戦中らしい。それを考えると、いかにこのドラマが「進んでいる」か分かるだろう。

Women in law enforcement in the United Kingdom - Wikipedia


 初回を見逃してしまったので、どうしてコナン・ドイルとフーディーニが警察に協力し、なおかつ女性巡査とトリオを組んでいるのか分からないけど、犯人探しが二転三転するさまが面白い。

 

【追記】

 最後まで見たけど……。途中から脚本が雑になってないか? ある謎は科学的に解明するんだけど、別の謎は宙ぶらりんのまま……。超常現象ってこと?