横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

Harvest for the World(Power Station)

 デュラン・デュランのメンバーだったアンディ・テイラー(ギター)、ジョン・テイラー(ベース)の呼びかけで、ロバート・パーマー(ヴォーカル)、シックのトニー・トンプソン(ドラム)が加わり、1985年に「パワー・ステーション」が結成された。

 パワー・ステーションはカバー曲が多く、この「Harvest for the World」も、元はアイズレー・ブラザーズのカバー。ロバート・パーマーと一緒にアンディも一緒に歌っており(高い声の方)、なかなか上手い。

www.youtube.com デュラン・デュランの中では、私はアンディ・テイラーのファンだった。デュラン・デュランには、ギターをしっかり聴かせる曲はあまりない。パワー・ステーションを聴いて、アンディがこんなにすごいギターを弾けるのかと驚いた。「Get It On」「Some Like It Hot」ではギターソロがあり、ギタリスト、アンディ・テイラーの腕前を堪能できる。

 では、なぜこちらの「Harvest for the World」を紹介するのかというと、アンディのヴォーカルが聴けるから。ギターだけでなく歌も上手い。となると、「クイーン」の歌えるギタリスト、ブライアン・メイがソロ活動を行ったように、アンディ・テイラーもソロで活動できるのではないか? そう思ったきっかけがこの曲なのだ。

 予感は当たり、音楽の方向性の違いから、やがてアンディはデュラン・デュランを脱退してしまった。そればかりか、ジョン・テイラーも脱退。デュラン・デュランは別メンバーで再始動した。もう元の5人では見られない。

 ところが2003年、デュラン・デュランは昔のメンバーで一時的に再結成し、ワールドツアーを行い、日本にもやってきた。武道館で、ようやく私はアンディとジョンの戻ったデュラン・デュランを目にすることができた。10代の頃の夢を、約20年ごしに叶えたわけだ。


 現在では、アンディはミュージシャンを引退し、プロデュース業に転向した。きっと若手アーティストの中には、パワー・ステーションのギター・ソロを聴いて、アンディ兄貴に憧れた人もいるだろう。

 ちなみにパワー・ステーションの方は、その後ロバート・パーマーとトニー・トンプソンが亡くなり、オリジナルメンバーでの再結成は不可能になった。