チャンネルはそのまま！

『チャンネルはそのまま！』
佐々木倫子　小学館

チャンネルはそのまま! 1―HHTV北海道★テレビ (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

作者: 佐々木倫子
出版社/メーカー: 小学館
発売日: 2009/01/01
メディア: コミック
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　北海道のテレビ局で報道記者として働くヒロインは、なんと「バカ枠」で採用されていた！

　テレビカメラの前で愉快な（？）画（え）を披露するヒロイン・雪丸花子の姿は、恋愛要素のない「ブリジット・ジョーンズの日記」かと思った。若手の頃は仕事ができなかったマスコミ女子のブリジット・ジョーンズは、続編だと出世しているのだ。もしや、雪丸も将来えらくなるのか……？（いや、小倉部長みたいな人もいるし、ひょっとして……）

　だいぶ前に出たシリーズだけど、テレビドラマ化の情報を聞いて読んでみた。まだ途中までしか読んでいないが、面白いやんけ！　あとやっぱり佐々木倫子さんは、ちょっとした部分がミステリ仕立て（トカゲの回とか）。舞台となっているのはローカルテレビ局だが、報道番組でも情報番組でも、番組制作の知られざる世界を垣間見られる。

　『動物のお医者さん』（獣医）、『おたんこナース』（ナース）、『Heaven?』（フランス料理店）と、お仕事漫画が続いた後はテレビ局が舞台。どなたかがレビューで「雪丸を見たら『動物のお医者さん』の菱沼さんを思い出した」と書いていたが、いやいや、菱沼さんはスローテンポなだけで、立派にキャリアウーマンだって。

　主人公の同期の山根は、『動物のお医者さん』だと菅原教授ではないかと（勝手に）思う。優等生であることにコンプレックスを感じているという。漆原教授を思わせる、枠にはまらないキャラの雪丸には、「バカだな」という気持ちと同時に、どこか羨ましさを感じていると思う。彼女のめちゃくちゃ運が良いところとか。そういえば、綾小路さんと菱沼さんという組み合わせもあったなあ。特許になる発見をした運の良い菱沼さんを、裕福な綾小路さんが「こんなトロい人に私は負けたの……」と妬む姿とか。

　取材に行った側（雪丸）が現場で騒動を起こし、他局のカメラによって放送されてしまうという図は既視感がある。先日の北海道の地震で、液状化した土地を取材に行った女性アナウンサーが泥に埋まってしまい、救出される姿が報道されるという出来事があったが、「『チャンネルはそのまま！』のようだ」という意見をネットで見た覚えがある。もしかして１巻のことだろうか。

　ただ主人公のおバカぶりや騒動を描くだけではない。会社員である以上、希望に沿わない部署に配属されることもある。そんな時どうするか。という、会社員あるあるもきっちり描かれている。また、テレビの画面（表側）に出ない営業だとか編成、技術といった裏側の部署にもスポットを当て、雪丸の同期がいるということで、それぞれ彼らを主役にした回がある。

　雪丸が入社してからだいたい１年目の出来事を描き、もうすぐ２年目というところでシリーズは終了。うーん、さすがに入社２年目で後輩が入ると、おバカをやらせ難くなるから？　まぐれ当たりもあるけど、後半でヒットを飛ばすようになるから？

　ともあれ、ドラマ版を見るのが楽しみである。

　【追記】
　この記事を書いた後で、札幌で起きた爆発事故のニュース映像を見た。ヤフーニュースには、北海道☆（ホシ）テレビのモデルとなった地元・北海道テレビの映像が出ており、画面隅に映った報道部の若手男性記者を見て、思わず「あ、山根じゃん！」。もし女性記者だったら「雪丸？」と思っただろう。