11月5日放送のNHK Eテレ「グレーテルのかまど」で取り上げたお菓子は、マルセル・プルースト『失われた時を求めて』のマドレーヌだった。
大人になった主人公が、紅茶にひたしたマドレーヌを食べた途端、子供時代を思い出し……という、あの有名なマドレーヌである。
バンドデシネではこんな感じ。
フランス文学専攻だけど、この作品はあまりにも長いので、ずっと読まずじまい。「プルースト『失われた時を求めて』を読む」 (NHKシリーズ NHKカルチャーラジオ・文学の世界)というガイド本が出て、ようやく着手。ラジオを聞かなくとも分かる、便利なガイド本だった。講師は翻訳を手掛けた鈴木道彦さん。
プルースト『失われた時を求めて』を読む (NHKシリーズ NHKカルチャーラジオ・文学の世界)
- 作者: 鈴木道彦
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2009/03
- メディア: ムック
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とっかかりに集英社の抄訳(鈴木道彦訳)を読んだけど、バンドデシネ(仏語)で読んでたら、知らない場面がどんどん出てきて、あわてて完訳を読み直した。「漫画なら絵があるから、本を読むより分かりやすそう~」と思ったのを後悔。
ところで、バンドデシネは白夜書房から和訳が出たのだが、なぜか途中まで。出版社が変わっても良いから、最後まで出して頂きたいのだが……。
- 作者: ステファヌ・ウエ,マルセル・プルースト,中条省平
- 出版社/メーカー: 白夜書房
- 発売日: 2007/11/20
- メディア: ハードカバー
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失われた時を求めて フランスコミック版 第2巻 花咲く乙女たちのかげに1 海辺への旅
- 作者: ステファヌウエ,マルセルプルースト,中条省平
- 出版社/メーカー: 白夜書房
- 発売日: 2008/05/23
- メディア: ハードカバー
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この小説は、何度か映画にもなっている。見たことあるのは「見出された時~『失われた時を求めて』より」ぐらい。主人公の役はイタリア人俳優で、声は吹替になったけど、外見がマルセル・プルーストにそっくりだった。オデット役はカトリーヌ・ドヌーブ、シャルリュス男爵はジョン・マルコヴィッチ、ジルベルト役はエマニュエル・べアールと、とにかく豪華なキャスティングだった。
3巻「花咲く乙女たちのかげに」窓の外の少女がアルベルティーヌ。
4巻「スワンの恋」まで買ったけど、フランスでは5巻まで出た。
女中フランソワーズは料理名人
ところで、「グレーテルのかまど」で、子供時代を思い出させるものを<マドレーヌ>と呼び、フランス人に「あなたにとっての<マドレーヌ>は?」と街頭インタビューしていた。ラベンダーやオリーブなど回答はさまざま。私だったら、「もみ殻を燃やす匂い」と答えるかな。秋の田んぼで稲刈りが終わった後、もみ殻を山にして燃やすのだ。秋に帰省すると、どこかの田んぼでたいがいもみ殻を燃やしている。
番組ではイリエ=コンブレの街も紹介された。もとはイリエだったが、プルーストの小説の舞台ということでイリエ=コンブレに改名された。ここは行ったことがない。せっかくパリから近かったんだから、行けば良かったなあと思い、調べていたら、こちらの記事を発見。
precious.jp そうか。巨匠ヴィスコンティも『失われた時を求めて』を映画化する構想があったのか。見てみたかったな。「山猫」でイタリア貴族社会を描いたように、フランス貴族社会を華やかに描いただろう。