「ヴァレリアン 千の惑星の救世主」Valérian et la Cité des mille planètes
監督:リュック・ベッソン
出演:デイン・デハーン、カーラ・デルヴィーニュ
2017年
フランス版ポスター
「ニキータ」「レオン」「フィフス・エレメント」のリュック・ベッソン監督の最新作。
<あらすじ>
西暦2740年。宇宙の平和を守るため、銀河をパトロールしている連邦捜査官のヴァレリアン(デイン・デハーン)とローレリーヌ(カーラ・デルヴィーニュ)。アルファ宇宙ステーションに降り立った彼らは、長い時間をかけて規模を広げ、多種多彩な種族が共存している“千の惑星の都市”の繁栄を目にする。だがその裏にはある秘密が存在し……。
原作は、フランスのバンドデシネ「ヴァレリアンとローレリーヌ」シリーズ。あの「スター・ウォーズ」にも影響を与えたという。リュック・ベッソン監督が少年時代から愛読してきたシリーズで、SF大作「フィフス・エレメント」を撮った時には、原作者から「どうして『ヴァレリアンとローレリーヌ』を撮らないんだね?」と言われたとか。ようやく21世紀に入って、技術的に製作可能になった。
ヘッドセットをかぶったツアー客が買物をする市場の場面は、VRが登場した現代ならではの面白さ。K-トロンのコマンドを解除できない部分は、AI(人工知能)の暴走への恐怖感とか、今に通じるものがある。
英語で製作されていて、主要キャストも英語圏の俳優だけど、監督自ら脚本を書いていることもあってか、バンドデシネの名残というか、フランスぽさがにじみ出ている(気がする)。「フィフス・エレメント」にも共通する要素だけど、「愛」の重要さについて語る場面とか、ハリウッド映画なら「テンポが悪くなる」とカットされそう。
海賊ボブ役でフランスの俳優アラン・シャバが出演(怪演)し、短いけれどインパクトがあった。こーいう俳優さん、ハリウッドにはなかなかいない。なにせ「ディディエ」で、人間に変身しちゃった犬を演じた人なのだ。「アメリ」のマチュー・カソヴィッツも出ていたんだけど、どこの場面だろう。最近だと英語堪能なフランス人俳優は少なくないのだから、役のイメージもあるけど、もう少し主要な役で起用しても良かったんじゃなかろうか。
先に公開された国ではミスキャストと言われたらしいが、デイン・デハーンは、過去には繊細な青年役を演じることが多かったので、観客には違和感があったのだと思う。「フィフス・エレメント」のブルース・ウィリス演じるコーベンと比べると、軍人ぽくないというか。
カーラ・デルヴィーニュは、モデルから転身した若手女優。リュック・ベッソンは「ニキータ」といい「フィフス・エレメント」といい、強い女性が大好きだから、キレイだけど男顔の、バキバキ闘うようなイメージの女優を起用したんではなかろうか。勝気なツンデレキャラとしては合ってると思う。
意外なキャスティングだったのは、大臣役のハービー・ハンコック!ベテランミュージシャンにして映画初出演。客引きジョリー役のイーサン・ホークは、雰囲気的に「フィフス・エレメント」のゲイリー・オールドマンだろうか。そしてバブル役の歌姫リアーナはゴージャスな歌とダンスを披露し、観客の目を楽しませる。「フィフス・エレメント」のディーヴァ・プラヴァラグナを思い出した。
前評判は微妙だったので見に行くか迷ったけど、なかなか面白かった。ユニークなモンスターとか、予告編にも出てきた、壁の向こうに広がる別世界の連続といった場面は見ごたえがあった。ヴァレリアンの捜索で、なぜかクラゲを釣りに行くところとか。ミュール星の"変換機"と呼ばれる動物は可愛らしい。オープニングに流れるデヴィッド・ボウイの「スペース・オディティ」を聴きながら、宇宙飛行の発展史を見せていくのが良い。
原作のバンドデシネ。映画公開に合わせて和訳が出ていた。
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フランスではアニメにもなっている。絵の雰囲気が日本のマンガっぽい。
……と思っていたら、日仏共同製作で、日本語版もあるらしい(どうりで)。
これはオープニング映像。