「鋼の錬金術師」「銀の匙」の作者、荒川弘さんの農業マンガ。主に実家を舞台にし、農業の楽しさと大変さ、意外な<貴族>ぶりなどが描かれている。
作者と家族の自画像は、全部ウシ!
お父さん、最強!
農作業のスケールが大きすぎ!
(さすが、北海道はでっかいどう)
ワタシも農村出身なので、スケールは違えど、近所や親戚の農家を思い出しては「ああ、似たような事あるある~!」と頷いた。農業機械は高いよ、とか。家で作ってる作物はスーパーで買わなくていい、とか。
農村の人だけでなく、都会の人にこそ「百姓貴族」を読んで欲しい。
だってねぇ。
あら奥さん!
今年の冬は野菜が高くて大変ですわね。
冬が旬の白菜まで高くなって、都会の人が驚くのは当然なんですけど、若い子が「キュウリも高~い」なんて言ってますのよ。
おかしくありません?
だって……
あのな、キュウリは夏野菜だぞ!
今の時期はハウスで栽培してんだぞ!
おじさんが作ってたから知ってるぞ!
冬にキュウリ高くて当然だべ!
これだから都会もんはよぉ~。
って言いたくなりますわよねぇ~!
えっ?
ウチでは白菜なんか買いませんのよ。田舎に帰った時にたくさん貰いましたの。実家は農家じゃないんですけど、おすそ分けがあるんですの。ネギも水菜もホウレン草も、買わずに鍋をしましてよ。ビバ、農村ですわ。おほほー!
さて、農家では後継者問題があって、うちの親戚の場合、いとこたちは会社員と兼業農家をやっている。でも、いとこの子供たちが継ぐかどうかは分からない。近所には、子供が全員女の子でよそへ嫁いでしまった家もある。今後、田んぼや畑をどうするんだろう。
「百姓貴族」では、これまで作者の弟さん(長男)が跡継ぎ候補だと言われてきたが、5巻で弟さんが違う職業を選んだことが描かれている。親族がたくさんいるようだけど、荒川農園が今後どうなるのか、他人事には思えない。
先日の記事(こちら)で、フランスの出版社Kurokawa社から、日本の漫画のフランス語版が出ていると書いたが、荒川弘の作品もあった。「ハガレン」「銀の匙」などに混じって、「百姓貴族」もフランス語になっている。ちなみにタイトルは「Nobles Paysans」という。Nobles=貴族、Paysans=農民の意味。
フランスはものすごい種類のチーズを作っているし、肉食文化の国なので、想像だけど、フランス人にとって作者の故郷・北海道の酪農の話はけっこう身近かもしれない。