横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

アーカイブ:ランの花<シャーロック・ホームズ>

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 古い資料を片付けていたら、フランス・ホームズ協会(SSHF)の昔の会報を見つけた。1999年の会報で、フランスで開発されたランの花<シャーロック・ホームズ>の記事が載っている。学名は"PAPHIOPEDILUM SHERLOCK HOLMES"という。

 

 実は、記事のベース部分は、SSHFに頼まれて私が日本側で調査し、JSHCの廣末久さん(故人)から送っていただいた資料をもとにフランス語で書いたもの。後でこれを日本語に訳し直して会報に掲載したのだが、資料ともども実家にあり……(遠い目)。

 再掲載とは違うが、仏語記事のベース部分を書いたのは自分なので、「アーカイブ」として以下、内容をかいつまんで紹介する。

 


 ランの花<シャーロック・ホームズ>とは、フランスの園芸家Maurice Lecoufle氏(Vacherot et Lecoufle社)が開発した新種。1994年に、ロンドンの王立園芸協会によって<シャーロック・ホームズ>と正式に命名された。

 同年、SSHFはLecoufle氏から2鉢を譲り受けた。かねてから交流のあったニューヨークのBSIと、SSHF会員Jean-Pierre Cagnat氏が訪日した際に暖かい歓迎を受けたJSHCに、それぞれ1鉢ずつ贈られた。

 日本では毎年「世界らん展」が開催されており、フランスからLecoufle氏が来日すると、JSHCを代表して、「全日本蘭協会」会員でもあった廣末久さんが受け取った。会期中、花はValecのコーナーに展示された。

 展覧会が終わると、東京近郊にある小田急電鉄系の向ヶ丘遊園(2002年に閉園)内の温室に移された。廣末さんはかつて小田急百貨店に勤務し、小田急電鉄グリーン事業部(当時)の芦沢さんと知り合いだった。

 大事に管理されていたが、ランの花は越冬が難しく、残念ながら1996年に枯れてしまったという。

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 Ironmongers Daily Echo 1999年5月号


 仏語の記事はモノクロなので、ランの花の色がよく分からない。検索してそれらしきものを見つけたので、貼っておく。白い花なのね。

   (写真はネットで見つけたもの)

 

 今回調べて分かったけど、向ヶ丘遊園では過去に「第12回世界蘭会議」が開催されていた。ランの花と縁のある場所だったようで。

 

 ところで、「ランの花があるなら、ひょっとしたらバラの花もあるんでは……?」と思ったら、あったよ、バラの<シャーロック・ホームズ>!

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  (写真はネットで見つけたもの)

 

 そして、バラの<オラス・ヴェルネ>。ホームズの祖母はフランスの画家ヴェルネの妹で、そのヴェルネとはオラスのことではないかと言われている。

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  (写真はネットで見つけたもの)