「フランス絵本の世界 KawaiiとB.D.(バンド・デシネ)の起源」
群馬県立館林美術館
以前、「19世紀パリ時間旅行」展(こちら)でも蔵書を拝見したが、今度は鹿島茂さんのコレクションのうち、フランスの絵本が展示されている。ポスターを見ると、なかなかかわいらしい。おまけに副題は「B.D.(バンド・デシネ)の起源」とある。これは見に行こう!
お目当ては、ジュール・ヴェルヌの原書など。ジョルジュ・サンドやテオフィール・ゴーティエといった19世紀に活躍した作家達はもちろん、編集者として有名なエッツェルまでが筆名を使い、子供向けの本を書いていたなんて意外!
まだ19世紀だと、挿絵もモノクロなんだけど、「リリちゃん」シリーズはなんだかかわいい。幼い子供特有のポテッとした感じがいい。
シャルル・ペローの「赤ずきんちゃん」は、大学でフランス文学を専攻した人には懐かしいんじゃないかな。原書で読まされたよ。「赤ずきんちゃん」て仏語では「Le Petit Chaperon rouge」なんだけど、ディズニーアニメみたいなフードじゃないんだよね。ベレー帽みたいな帽子。
時代が進むと、印刷技術の向上と共に、児童書もカラフルになっていく。初期のバンドデシネも登場する。日本でもおなじみの「ぞうのババール」は直感的に「日本だと、田河水泡の『のらくろ』みたい」と思ってしまった。
「ぞうのババール」には、アフリカにおけるフランスの植民地政策を肯定しているという批判があった。かたや昭和初期の「のらくろ」は、犬の主人公が軍隊に入って昇進して……というお話。子供向けのほのぼのとした作品のはずなのに、時代背景が反映されているという共通点がある。
バンジャマン・ラビエの作品は、やはり動物のバンドデシネなんだけど、表情が独特で、「アニメっぽいな~」と思ってたら、本当にアニメ化されていた。
フランスのスーパーで買い物したことある人は、「笑う牛(La vache qui rit)」チーズを知っていると思う。日本にも最近は「ラッフィング カウ」の名で入ってきてるらしい。牛がイヤリングのように、耳からチーズをぶら下げているという、シュールなパッケージ。あの原画も展示されていた。なぜ!?と思ったら、ラビエのデザインだった。
https://www.bel-japon.com/laughingcow/
会場では、童謡と挿絵も紹介されていた。実際に音楽を聞けるように、音源が用意されていた。昔、NHKラジオのフランス語講座で紹介された「Cadet Rousselle」もあり、懐かしい。最後のルフランが有名。
Ah ! Ah ! Ah ! Oui, vraiment,
Cadet Rousselle est bon enfant !
館林は行ったことあるけど、多々良駅は初めて下車したよ。あてにしていたレンタサイクルがお休みで、美術館まで20分かけて歩いた。館林から循環バスも出てるけど、本数が少ないし。車がないと、かなり不便。展示内容によっては東京からお客さんも来るだろうに。土日だけでもバスを増便するとか、何か手を打った方がいいと思う。
左頁はジュール・ヴェルヌ「八十日間世界一周」すごろく。「Yokohama(横浜)」「Japonais(日本人)」のマス目があった。
ジュール・ヴェルヌつながりで: