横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

アーカイブ:スイス・ローザンヌ オテル・ナシオナル

ローザンヌ オテル・ナシオナル
l'Hôtel National ― Lausanne

 スイスのローザンヌが登場する「フランシス・カーファクス姫の失踪」。かつてのオテル・ナシオナルの跡が残っていた(2001年の情報)。

 ローザンヌでスイス・ロマンド・ホームズ研究会のメンバーと会った際、「せっかく来たんだから」と車で案内してもらったのだ。ちなみに「ホテル」の仏語発音が「オテル」である。

  ローザンヌにはコナン・ドイル財団がある。

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  オテル・ナシオナルだったアパート(2001年に撮影)

 

 地元のシャーロキアンに「フランシス・カーファクス姫の失踪」のオテル・ナシオナルに案内して貰った。現在は普通のアパートになっている。ホームズ物語にちなんでプラークを付けるよう、市当局に交渉中とのことである。

 <フランス・スイス旅行記>「ホームズの世界 25」(2002年)より

 この後、本当にプラークが設置されたらしい。フランス・ホームズ協会の旧サイトに、2004年の除幕式のレポートが掲載されていた。

 簡単に紹介すると、「フランシス・カーファクス姫の失踪」事件の捜査でドクター・ワトソンがローザンヌを訪れ、その時にオテル・ナシオナルにもやって来たという内容。記事では場所を"rue de la Gare"と表記しているが、正しくは"Avenue de la Gare"である。Gareは駅の意味で、訳すとどちらも「駅通り」である。

 20世紀初頭のローザンヌの写真を紹介したサイトがあり、当時のオテル・ナシオナルが映っている。路面電車が走っているが、馬に注意しなければならなかったという。なんとなく、ワトソンが見たのもこんな景色だったのかな~と思ってしまう。

Lausanne avenue de la gare et l'hôtel National - Notre Histoire

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 もう1つ、ローザンヌを訪れた著名人を紹介するサイト。ナポレオンやココ・シャネルといった人々に交じって、ドクター・ワトソンの名前が出てくるではないか! すごいな、ワトソン!
SwissPassport - Le guide de Lausanne


 さて、オテル・ナシオナルはその後どうなったのか、調べてみた。なにしろ16年もたっている。すると、現在は国際体操連盟(La Fédération internationale de gymnastique)の本部として利用されていることが判明した。

国際体操連盟 - Wikipedia


 日本語版には、建物の写真が載っている。
 あれっ? なんか、小さくなってない? 横幅が短いぞ。

 さすがにローザンヌでも、再開発の波には勝てなかったのか~。
 だからスイスのシャーロキアンは、建物本体でなく、近くの壁(石垣?)にプラークを設置したんだ(たぶん)。

 

 聖典に登場するヨーロッパのホテルといえば、他にフランス・リヨンのオテル・デュロン(Hôtel Dulong)がある。「ライゲートの大地主」の冒頭だ。モデルになったホテルはどこだろうか?

 ただし、こちらはフランスのシャーロキアンが現在も捜査中とのこと。似たようなつづりのホテルとか、見つからないだろうか? 朗報を待っている。