このブログをご覧の方はお気づきの通り、シャーロック・ホームズのような英米のミステリを愛しながら、同時にフランス好きという管理人です。英国の情報に比べて、フランスやスイスのような仏語圏のホームズ情報、ミステリ情報は、なかなか日本に入ってきません。
ということで、過去に他の媒体で発表した記事を「アーカイブ」として紹介します。紙面に限りがあって、当時紹介できなかった写真も追加してあります。
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大掃除で発掘したものの続き。2002年に訪れた、パリ警察博物館のパンフレットとポストカードが出てきた。
当時は「Musée des Collections Historiques de la Préfecture de Police」だったが、現在の名称は「Le Musée de la préfecture de police」。場所も移転したらしい。これから行く人は、下記サイトで住所を確認されたし。
公式サイト(仏英)
Le musée de la préfecture de police - La préfecture de Police
Wikipedia(仏語)
Musée de la préfecture de police — Wikipédia
厳密には「la préfecture de police」は「警視庁」なのだが、東京にも「警察博物館」があり、また、定訳もないようなので(ネットで見ると表現が混在している)、ここでは「パリ警察博物館」と呼ぶことにする。
警察署の中にある博物館。入場無料。ベルティヨン式人体測定を再現した人形や関連資料が展示されている。ヴィドックについての資料、フランス革命時のギロチン、シャトーブリアンやヴェルレーヌといった投獄・逮捕されたことのある文学者に関する資料もある。19世紀末のパリ万博の資料には、日本館の様子が描かれている。
<フランス・スイス旅行記>「ホームズの世界 25」所収(2002年)より
写真はパンフレットとポストカード(ヴィドック、人体測定の道具)
移転前の博物館は、ガチで警察署の中にあった。受付で「博物館に行きたい」と言うと、「上の階だよ」。階段で女性警察官とすれ違った。フランスでは一度も警察のお世話になったことがなく、悪いことは何もしてないのにドキドキした。
パンフレットを見て、今なら「この展示を詳しく見るのに!」と後悔したものがある。強盗団の首領ジュール・ボノーとか。おまけにパリ万博は、エッフェル塔の建った1889年なのか、渋沢栄一が渡仏した1863年なのか、うろ覚えだし……。
ホームズ物語に名前が登場するパリ警視庁鑑識課長ベルティヨンと、彼の開発した人体測定法。何だかんだ言って、パリ警視庁の自慢なんだろうな。これがリヨンだったら、まずベルティヨン式の限界を語るところから始まって、指紋鑑定の紹介とか、ロカールの功績がメインになるはず。
ヴィドックは、犯罪者から国家警察パリ地区犯罪捜査局の初代局長となった人物。『ヴィドック回想録』という自伝が出ている。ジェラール・ドパルデューが主演した「ヴィドック」という映画もあるけど、正直CGばっかで……話が破たんしてて……。
詩人ヴェルレーヌの逮捕って、美青年詩人アルチュール・ランボーと痴話喧嘩して、ランボーを負傷させた時のだな。映画「太陽と月に背いて」でも、その場面があった。作家・政治家のシャトーブリアンの方は、ちょっと分からないや。Wikipedia仏語版で見たら、本人じゃなく、フランス革命の時に家族が投獄されているので、その関係かと。
ガラスケースとか、ガラスごしの展示は、手持ちのカメラでは光ってしまい、撮るのを諦めた。詳しく展示を見たい方は、前述の、博物館の仏語名で画像検索されたし。