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横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

デヴィッド・ボウイ展

美術展 音楽

 雑誌「PEN」のデヴィッド・ボウイ特集を見て、「あ、これ、見逃したら絶対後悔するやつだ」と思い、行ってきた。天王洲アイルなんて、初めて行ったぞ。

davidbowieis.jp

 チケットは、事前に日時指定で購入しなくてはいけないので、直前まで天気予報とか仕事の予定を気にしつつ、「この日なら大丈夫かな」と目星がついてからチケットぴあへ。当日は強風だったけど、電車が止まらなくてひと安心。

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 午後2時の回にしたけど、混雑を気にして1時台に入場したら……会場内で渋滞が発生。普通の美術展なんかだと、壁に絵の説明書きが貼ってあって、絵の真ん前に立たなくても離れた場所からも読めるけど、ここはガラスケースとか足元とかにしか説明書きがなく、どうしてもその展示のところに行って、下に目を落とさないといけない。しかも、照明の関係で、場所によっては自分の影で説明文が読めない。

 先に見に行った人の情報では所要2時間とのことで、私も結局そのぐらい滞在したかな。外国人の来場者も見かけた。

 展示内容は、実際にボウイが着用した衣装、自筆の歌詞、楽譜、彼の描いた絵画など。あとは、入口でヘッドホンを渡されたように、映像が多かった。プロモーションビデオや、本人や関係者のインタビューなどで、それぞれのコーナーで足を止めて音楽に聞き入ったり、映像を眺めていると、どんどん時間が過ぎていく。

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 リアルタイムでボウイを見ていたのが私の場合は1980年代なので、「ブルー・ジーン」とか、その頃の音楽が流れると、つい「懐かしい!」と聞き入ってしまった。あと、映画「ラビリンス/魔王の迷宮」の展示も嬉しかった。そして日本なら「戦メリ」こと「戦場のメリークリスマス」。スクリーンで、坂本龍一北野武のインタビューが流れていた(英語字幕付き)。今思うと、本職の俳優ではなく、他分野で活躍する人を主要な役で三人も起用した大島渚監督って、すごいな。

 ボウイの場合は、ミュージシャンだっただけでなく、俳優やパントマイマーでもあり、さらに絵を描いていたので、展示内容が多岐にわたる。数年前に、音楽のプロモーション・ビデオを制作していた映画監督ミシェル・ゴンドリーのイベント(「ミシェル・ゴンドリーの世界一周」)を東京都現代美術館で見たけれど、やはり会場では彼の制作したプロモーション・ビデオが流れていたっけ。アーティストの活動内容にもよるけれど、映像を展示の一部として利用するのも今の流れなのかも。

 個人的には、ベルリンの展示が良かった。かつて麻薬依存症を克服するため、ボウイはベルリンに滞在したということで、地下鉄の路線図が展示されていた。床にも路線図の模様が描いてある。私もベルリンは好きな街なのでじっくり見ていたが、ふと「ボウイが居た頃って、ベルリンの壁が崩壊する前じゃん!」と気づいた。そうか、あれは昔の、壁があった頃の路線図なのか。私が訪れたのは21世紀になってからだったので、旧東ベルリンにも、地下鉄一本でアクセスできた。

 このコーナーで流れていた映像は、ベルリン公演。もちろん、旧西側で開催したのだが、ボウイは壁の向こうの、東側の若者にも呼び掛け、スピーカーをそちらにも向けていたという。よく撮影できたなと思ったのが、このライブの時、東側でもカメラが回っていたこと。誰が撮った? 東側の人? 壁ごしに聞こえる音楽を聴いて、ライブ終了後も、集まった若者達が解散せず、暴れ、捕まった。その2年後、ベルリンの壁が崩壊した。

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 圧巻は、会場出口手前の壁面スクリーン。過去のライブ映像が何曲も流れていて、皆が足を止めて見上げていた。ボウイの存命中、ライブに行くことは叶わなかったけれど、こんな形で色々な時期のライブ映像を見られるのはありがたい。

 売店では、Tシャツとか文房具とかカタログを販売していた。カンバッジなら、小さくてかさばらなくてお土産に良いな~と思ったら、不透明なパッケージで中身が見えない! えええ~! 好きなデザインを選ばせておくれよう。結局、何も買わなかったよ。

 事前に「PEN」で予習をしておいて良かったかも。盛りだくさんな内容だった。

 デヴィッド・ボウイのことを、一口に「こんなアーティスト」とくくれなかったのは、活動期間が長かったからじゃなく、アルバムごとにそっくりジャンルや演じるキャラクターを変えてしまったからだと分かった。途中、スランプに陥りながらも、適度に休み、音楽から離れて絵を描いたりしながら、亡くなる直前まで音楽を作ることができた。すごい才能の持ち主と、同時代に生きていられたのはラッキーだったんだな。

 

 

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