横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

吉祥寺だけが住みたい街ですか

 昨年末、話題になっていたテレ東ドラマを途中から録画して視聴。一話完結だったので、後から追いかけるのに助かった。

 舞台は吉祥寺にある重田不動産。双子の姉妹が経営し、いとこの勲男も勤務している。毎回、仕事、恋愛などの悩みを抱えた依頼人がやって来て、「吉祥寺で部屋を探しています」と相談するのだが、姉妹はなぜか別の「合う」街を勧める、というもの。

 吉祥寺って、よく「住みたい街ランキング」でトップまたは上位になることが多くて、常々不思議だった。あれ、いったい何歳ぐらいの、どこに住んでいる人にアンケートとっているんだろう? 

 



 会社員の場合、勤務先がどこにあるかにもよるけど、中央線てしょっちゅう止まるし、遅れるし、かなり不便だぞ。大きな事故とかなくても普通に遅れるから、私は昔、部屋を探した時、中央線沿線と埼京線沿線は真っ先に外したぞ。

 どうして皆、猫も杓子も「吉祥寺に住みたい」と言うのだろうか? もしかしたらメディアが、特に若い女性向けのテレビ番組とか雑誌で、過剰に「吉祥寺アゲ」をしていないだろうか?

 ドラマで紹介される街は、それぞれ違う魅力を持っていて、実在の場所やお店もバンバン出てくる。まだ行ったことのない街も「面白そう」と思えたし、何度も通った場所、例えば自分なら日仏学院にも近い神楽坂エリアは、見覚えのある風景で、懐かしいと思ってしまった。

 建築が好きなので、印象的な建物が出てきたところは本気で「いいな、行きたいな」と思った。十条の北区立図書館とか、秋葉原の旧万世橋駅を利用した商業施設とか。

 原作はマキヒロチの漫画。ドラマ独自の設定として、かつて吉祥寺に住んでいたことのある「ピース」の又吉を登場させている。重田不動産に部屋探しを依頼していて、勲男が担当者として、前半はメールでやり取りしている。終盤になって、又吉に物件情報を渡そうとする部分や、実際に「会いましょう」となる辺りは、勲男がまるで恋する女子高生のよう(笑)何を目指しているんだ、テレ東は。


 さて、原作の漫画も気になり、読んでみた。

 当然だけど、設定がちょいちょい違う。重田姉妹の自宅リノベ(今、リフォームって言わないんだね)の話は、ドラマでは出てこない。あと漫画では、最初に吉祥寺の部屋も案内している。その上で「吉祥寺、やめよっか?」と言う。ドラマだと、最初から他の街しか案内しないのかと思ってしまったが、時間の都合かな。

 現時点で単行本は3巻まで。子供の頃から一緒に暮らしてきた双子の姉妹が、それぞれ住みたい街を見つけるところは、寂しいような、でも同時に、門出に向けてわくわくするような感じ。職住接近で、いい街に住んでしまうと、なかなか引っ越す機会もないからな。

 4巻以降、自宅工事の間だけだが、彼女たちがどんな暮らしをするのか、また、家のリノベの完成も楽しみだ。あっ。料理男子の勲男と離れたら、重田姉妹の食生活はどうなるんだろう。

吉祥寺だけが住みたい街ですか?(1) (ヤンマガKCスペシャル)

吉祥寺だけが住みたい街ですか?(1) (ヤンマガKCスペシャル)

 

 

吉祥寺だけが住みたい街ですか?(2) (ヤンマガKCスペシャル)

吉祥寺だけが住みたい街ですか?(2) (ヤンマガKCスペシャル)

 

 

吉祥寺だけが住みたい街ですか?(3) (ヤンマガKCスペシャル)

吉祥寺だけが住みたい街ですか?(3) (ヤンマガKCスペシャル)