横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

オアシス:スーパーソニック

「オアシス:スーパーソニックOasis: Supersonic
2016年 イギリス映画

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 2009年に解散した、英国の人気ロックバンド「オアシス」のドキュメンタリー映画。デビューから、当時最高の25万人という観客を動員したネブワースでの野外コンサート(1996年なので、今から約20年前)までを描いている。

 ノエル(作詞作曲・ギター)とリアム(ヴォーカル)のギャラガー兄弟があまりにも仲が悪くて、兄のノエルが脱退したのは有名な話だが、本作を見て「あ、やっぱりこのバンド、再結成はないな」と改めて確信した。かえって赤の他人の方が、再結成が実現しちゃうんだよ(デュランデュランとか……)。

 


 母親や、長兄のポールにもインタビューをしている。すんごい悪ガキだった息子たちが定職にもつかず、バンド活動をやっているので心配そうに見守っていた母親だが、短期間であれよあれよという間に「オアシス」がスターダムにのし上がり、成功を喜びながらも、複雑な思いを吐露している。

 初期の頃の映像があるということは(当時はスマホもない)、かなり早い段階で誰かが「記録しておこう」と考えたのだろうか。ノエルとリアムが並んで笑っているなんて、今となっては貴重な映像だ。

 スタジオでのレコーディング中の映像もある。ミキサーたちが言うように、彼らの魅力はライブ感。劇場でも迫力ある音声で、名曲の数々を聴けたのがとても嬉しい。本当、いい曲ばっかりだよ。もう、立ち上がって踊るわけには行かないから、劇場が空いているのをいいことに、足でリズムをとったのは内緒。何なら、オールスタンディングで上映しても良いよ!(←オイ)

 来日した時の映像も入っていた。インターネットもない時代、空港に大勢のファンが詰めかけ、メンバーは驚いていた。いやね、日本にだって、テレビとラジオの音楽番組はありますから!! なんか女の子たちのメイクが地味ぃ~と思ったけど、今と違って、つけまつげやカラーコンタクトもしてないから、”目力”が弱い。それと皆、黒髪だ。

 製作総指揮に名前を連ねているノエルが、1996年のネブワースを振り返る。
「インターネット誕生前の最後の、盛大な人々の集会」と。今だったら、すぐにインターネットで公開される。音楽、映像、ミュージシャンのインタビューも。インターネットのビフォーアフターで、決定的に何かが変わった。1996年は、そういう時期だった。

 さらに「もう、公営住宅出身のスターは出てこないだろう」とも言っていたが、それはインターネットの時代とは別に、21世紀が格差の大きい社会になったせいではないだろうか。かつて、サッカーと音楽は、英国の労働者階級の子供たちにとって、上の階層にのし上がるチャンスだったのだが……。

 それにしても、1996年以降、どんな形でいることが「オアシス」にとってベストだったんだろう? 「もっと成功を!」と求めずに、活動休止して、しばらくして気が向いたらレコーディングして、ツアーに出るとか? ノエルは脱退しないまでも、合間にソロ活動をするとか? いや、遅かれ早かれ、やっぱりノエルは脱退の道を選んだと思うな。

 メンバーがマンチェスター出身ということで、伝説のクラブ「ハシエンダ」の名前が出てきた。映画『24アワー・パーティピープル』で、その興亡が描かれた場所である。ノエルだかリアムだかが「あそこで流行っていたのはロックじゃない」とくさしていたが、1980年代の音楽を聴いてきた私には、それでも、そんなに悪いイメージはない。

 マンチェスターといえば、マンチェスター・ユナイテッドマンチェスター・シティの2つのサッカーチームがある。オアシスのメンバーは、マン・シティを応援しているとのこと。21世紀に入った現在の、オイルマネーで変身を遂げたマン・シティについて、どんな思いを抱いているのだろう。

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