横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

駆け出し探偵フランシス・ベアードの冒険

「駆け出し探偵フランシス・ベアードの冒険 シャーロック・ホームズの姉妹たち」
レジナルド・ライト・カウフマン著 平山雄一訳 国書刊行会

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国書刊行会様よりお送りいただきました。

届いたのは12月だけど、正月休みに読むのを楽しみにとっておいた。
2冊とも、表紙がとても可愛い♪

【ちょびっとネタバレ】
「駆け出し探偵フランシス・ベアードの冒険」は、19世紀末のアメリカが舞台。
主人公のフランシスは、外見はチャーミングな若い女性、その正体は女探偵。
20世紀ではない。まだ19世紀の頃だ。

 


 シャーロック・ホームズと同時代のアメリカって、こんなに進んでいたのか! 働く女性は、イギリスでも家庭教師とかタイピストとかいたけれど、探偵ともなると、かなりハードな職業。命の危険もある。もちろん、女性の社会進出の度合いは現代とは比べ物にならないけれど、女探偵はまだまだ珍しい存在だったとは思うけれど、イギリスよりもずっと進んでいるがな!

 先日、NHK「ヒストリア」の「ジュール・ヴェルヌ『八十日間世界一周』」(記事)という回で、19世紀末アメリカの女性記者たちが出てきたけど、同じ頃、イギリスやフランスで女性の同業者がいたという話は、あまり聞いたことがない。20世紀初頭ならあるが。アメリカという国において、数は少ないだろうが、女性の社会進出がいかに進んでいたかを感じた。

 本書でびっくりしたのが、捜査のため地下室へ降りる場面で、「邪魔だから」とヒロインはスカートを脱ぎ捨てている! そりゃ、下穿きは身に着けているが、当時はまだ、ブルマーが一般的ではなかった時代。それきり誰にも会わないなら構わないけど、その後、”そのまま”の格好で、屋敷内の人物(それも男性)に会って話しているではないか! 途中で「スカートはいた」とか「実は中にズボンをはいていた」という描写もないぞ。(頼む、書いてくれ、作者!)

 作中、同僚の探偵の男が嫌な奴で、「今ならセクハラだろ!」な言葉が飛び出てくる。なので、最後の方では、読者は(特に女性読者は)快哉を叫ぶことだろう。

 容疑者に恋をするところは、「若い女の子だから」と言うつもりはない。探偵小説で、美しい依頼人や容疑者に恋をした男の探偵や助手は、ゴロゴロいるからね。

 ヒロインの、あまり女を武器にしないところが気に入った。回想録の形をとっているので、どうやらフランシスは探偵稼業を続行しているらしい。いったいどんな、キュート&タフな女探偵に成長したのだろうか。

 

 

 

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