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横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

読書メモ  海外サッカー

サッカー

 ちょっと前に読んだ、海外サッカー関連本の感想をまとめて。

 その昔、私はスカパーでサッカーを見まくっていた。申し込んでいたのは「Jリーグパック」と言ったかな。ひいきのチーム(浦和レッズ)の試合を中心にテレビ観戦していたが、当時、Jリーグパックでは、なぜか一時期、英プレミアリーグの中の、アーセナルに特化した「アーセナルTV」が視聴できたのだ。

 地上波の方でも海外サッカーは多少見ていたけど、当時のアーセナルは、ヴェンゲル監督をはじめ、選手ではティエリー・アンリやロベール・ピレス(いずれもフランス代表)など、フランス人の活躍が目立った。

 留学で滞在した都市にはサッカーチームがなかったこともあり、フランスにいた間、私はサッカーから遠ざかっていた。日本に帰ると、日本代表がワールドカップ出場を果たしたり、2002年には日本でワールドカップが開催されたり、海外サッカーが身近なものになった。中でも、私にとって、フランス代表は目が離せないチームだった。ファッションモデルでもあったロベール・ピレスは憧れの選手で(「顔かい!」と言うことなかれ)、自伝(仏語)もアマゾンで取り寄せたほど。

 


 後に、私は出版翻訳でデビューすることになり、でも当時は会社員だったので本名は使えず(副業をやっていると公言したくなかった)、ペンネームを探した。漠然と、「エドガー・アラン・ポー」→「江戸川乱歩」みたく、外国人の名前を和風にもじったものを使いたいと考えていた。

 ロベール・ピレスのファンだったけど、日本語(漢字)にするのは難しい。”レジェンド”のジネディーヌ・ジダンも無理(日本語だと語呂も良くない)。そこでティエリー・アンリをもじったものを採用。ちなみに、サッカー大好きな友人はすぐに「これ、ティエリー・アンリでしょ!」と当てた。

 ワールドカップで何度か優勝を果たしたり、ひと昔前のフランス代表は勢いがあった。なのに、監督や選手が交代するや、「あれ、どうしちゃったの?」という状態に。その辺の事情を取材したのが、以下の本。

レ・ブルー黒書  フランス代表はなぜ崩壊したか」
ヴァンサン・デュリュック著 結城麻里訳 講談社

レ・ブルー黒書――フランス代表はなぜ崩壊したか

レ・ブルー黒書――フランス代表はなぜ崩壊したか

 

 
 一読してみて思ったのは、ナショナルチームであれ、クラブチームであれ、資金と良い選手、良い監督、環境などの条件が揃えば、黄金時代を迎えられるということ。反対に、資金や良い人材が揃っていても、マネジメント部分、つまりクラブチームだとフロント、GMといった後ろの部分が駄目だと、チームが駄目になるということである。ナショナルチームだと、ずばり、サッカー協会。

 監督もあくまでチームや協会に「雇われて」いる身なので、どういうチームにしたいか、方針や権限がはっきりしないと手腕をふるえない。時々、悲劇的なミスマッチが起きる。でも、矢面に立つのは監督なので、そこの部分は気の毒な気もする。ドメネク監督の時は、「星占いで起用する選手を決める」と聞いたけど……(女子高生かっ!)。

 ナショナルチームだろうが、どこかのリーグのクラブチームだろうが、共通する。予算は潤沢なのに、結果を残せないチームってあるよね。まさに、チームって生き物なんだな。

 私は特に日本代表の熱心なサポーターではないが、ふと、ジーコが監督を務めた頃の事を思い出してしまった。日本サッカー協会は、総括をしていないよね? サポーター達にきちんと説明していないよね? もっとも、日本サッカー協会には、Jリーグのサポーターの立場からも、言いたいことは山ほどある。

 本書が出た後、元フランス代表のディディエ・デシャンが監督に就任すると、フランス代表チームは持ち直した(今シーズンはまた不調に。まさしくチームは生き物)。

 フランス代表といえば、移民大国フランスを象徴するように、肌の色が様々な選手が集まったため、ジャン=マリー・ル・ペン(当時のFront National党首だった)が「国歌は歌えるのか?」と揶揄した。政治的な思惑にも利用され、サルコジ大統領(当時)が首を突っ込んだり……。弱いチームよりは勝てるチームの方が良い。でも、優勝するほど強くなればなったで、何らかの問題が起こるのか。


アレックス・ファーガソン自伝」
アレックス・ファーガソン著 小林玲子訳 日本文芸社

 
 言わずと知れたマンチェスター・ユナイテッドの名将。マンU浦和レッズと親善試合を行ったことがあるが、当時采配を振るっていたのが”ファギー”の愛称で知られるファーガソン監督だった。

 マンUサポは浦和レッズをどう見てるだろうと、ググったことがあるが、”Fergie”という呼称を見つけ、マンUサポの掲示板にたどり着いていたのに気づいた。ちなみに、浦和レッズが英国まで遠征した試合は雷雨で中止になり、感想を探るどころじゃなくなった(その後、日本で対戦できた)。

 ファーガソンスコットランド出身で、イングランドでは何かとくやしい思いをしたこと、意外にも、現役選手の頃からパブの経営者だったことなど、本書で初めて知った。経営者の経験て、監督業にも活かされたのかな。

 世界的な有名選手をスカウトしてきたけれど、時には補強がうまくいかなかったり(ファン・ペルシーとか)。ユースの頃から可愛がってきたベッカムとは、成長やポップ歌手(当時人気絶頂だったスパイス・ガールズのヴィクトリア)との結婚などを経て、しっくりいかなくなったり。

 それにしても、改めて経歴を確認すると、27年もあのビッグクラブの監督を務めたって、すごいな。後任はやり辛いだろうな。ちなみに、現在マンUの監督を務めるのは、なんとモウリーニョ! 並の監督では、重圧に耐えられないということか。


【追記】
上記の本を読んだのはだいぶ前。このサイトに載せるため、メモの見直しをしていた矢先、飛行機事故のニュースが飛び込んできた。ブラジル1部リーグのシャペコエンセがコロンビアへ移動中に事故に遭い、犠牲者の中にはJリーグでも活躍した選手や監督の名も。マンUの「ミュンヘンの悲劇」を思い出してしまった。合掌。

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