横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

シャーロック・ホームズ完全ナビ

シャーロック・ホームズ完全ナビ」The Sherlock Holmes Companion
ダニエル・スミス著 日暮雅通訳 
国書刊行会

シャーロック・ホームズ 完全ナビ

シャーロック・ホームズ 完全ナビ

 

 

 国書刊行会様よりお送り頂きました。

 内容は、正典(聖典)60編の解説と、主な登場人物や物語の背景に関する記事、作家、映像・舞台関係者のインタビューなど。写真や挿絵も多く、眺めているだけでけっこう楽しい。聖典の挿絵は、日本ではめったに見られない、デンマークの画家によるものも掲載。

 BBC「シャーロック」あたりがきっかけで、最近になってホームズを知った人や、映像・舞台に興味がある人にはとても重宝するだろう。もちろん、前からホームズが好きな人にも、聖典から各種のテーマまで一覧するのにとても便利。

「科学者探偵としてのホームズ」の項は、ホームズ物語の捜査の科学的側面に注目したもの。ちょうど今、フランスの犯罪学者エドモン・ロカールの本を読んでいるので、じっくりと読み込んでしまった。

 



「文学的系譜」では、19世紀から現代までのミステリ史を解説しながら、その中でホームズ物語がどのような位置づけだったのかが書かれている。

 私が「おおう!」となったのは、舞台でホームズを演じたロジャー・ルウェリンのインタビュー。確か、ロンドンへ行った時に、この人の舞台を見たような気がする。どういうきっかけでホームズを演じるようになったのか、聞いてみたかった話が色々と出ている。

 もう一つは、BBCラジオドラマの作家バート・クールズのインタビュー。昔、イギリスに少しだけ滞在していた頃にこのラジオドラマの存在を知って、大ファンだったのだ。再放送を聴いたり、カセットテープをせっせと買い集めたり。個人的には、ホームズを声で演じたクライブ・メリスンのインタビューも読みたかったな。

 たぶん、ロジャー・ルウェリンやバート・クールズのインタビューは、内容は違うだろうけれど「Sherlock Holmes Detective Magazine」でも紹介されたと思う(たぶん、読んだはず)。でも、こうして改めて日本語で読めるとは嬉しいかぎり。

 他にも、エドワード・ハードウィックやデヴィッド・バーク(グラナダTVのワトスンたち!グラナダ世代には嬉しい!)、マーク・ゲイティスのインタビューも載っている。

 ラジオドラマについて色々と語りたくなってしまったので、それは別の記事にする。

 

記事はこちら:ホームズのラジオドラマ - 横文字の島