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横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

繕い裁つ人

「繕い裁つ人」
監督:三島有紀子
出演:中谷美紀三浦貴大黒木華


 先日のEテレ「グレーテルのかまど」に、映画「繕い裁つ人」のチーズケーキが登場。このブログを始めるより前に、映画鑑賞直後に書いておいた鑑賞メモを引っ張り出した。

<あらすじ>
祖母が始めた小さな洋裁店を継いだ2代目の店主・市江を主人公に、洋裁を通してとりまく人々との交流を描いた物語。時代が移りゆく中で祖母の意思を受け継ぎ”一生添い遂げられる服”にこだわって、その人だけの服を作り続けていく。

「しあわせのパン」の三島有紀子監督の作品。漫画を原作にした、洋裁店の物語。画面に登場しない祖母の存在感、そして洋服が重要な役割を演じている。

「頑固じじい」と呼ばれるような、クールで凛としたヒロインなのに、喫茶店でホールサイズのケーキをおいしそうに頬張る姿が、ギャップがあって、人間味があっていい。このケーキは、原作の漫画には登場しない、映画オリジナルだとか。

 


 神戸の、観光地である異人館エリアとは別の洋館でロケしている。洋裁店(川西市郷土館)、結婚式場(旧グッゲンハイム邸)、そして街の図書館として、監督の母校の神戸女学院が使われている。セットでは作り出せない雰囲気。洋裁店は、窓に小さなステンドグラスを使ってあり、光線がとても美しい。つい、ストーリーそっちのけで、建築の細部に見入ってしまった。

 廃業を考えている、主人公と同業のテーラーが出てきたので、ふと故郷の店を思い出してしまった。子供の頃、近所にあるその店は「テーラー」の看板が出ていた。ガラスのショーウィンドーには背広が飾ってあった。外からはグレーの生地が棚に並んでいるのが見えた。お客が出入りするのを見たことはなかった。

 やがて、田舎にも大型小売店が出店するようになって、仕立て屋ではやっていけなくなったのだろう。あるとき、その店はうどん屋に変身した。地元にはうどん屋が多く、最初は「あの店、やっていけるの?」と子供ながらに思ったが、ちょうど、うどんで街おこしをしようというタイミングだった。

「うどん屋マップ」が作られ、よそから観光客がぽつぽつと訪れるようになった。その店にも観光客が訪れ、うどん屋としてやっていけた。かなり幸運な転業だったと思う。うどん屋になる前は一度も足を踏み入れたことのない店なのに、そんなことを思い出してしまった。

 今思えば、私の伯父とか、地元の年配者は、自宅でうどんをささっと打てる人が多かった。テーラーの主人も、うどんの街の人間として、元々うどんを打っていたのだろう。

追記:
グレーテルのかまど」で、監督がチーズケーキを選んだ理由が明らかに。映画に登場した喫茶店では販売しておらず、京都のパティシエに特注したもの。見た目の割にあっさりしていそう。でも、ホールケーキの高さ6cmって、すごいな~。昔ならあのくらい、自分でもペロリといけたと思うが、今は……無理……。健康診断の結果が怖いよ……。

 

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