横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

なんらかの事情

「なんらかの事情」

岸本佐知子著  ちくま書房  

なんらかの事情

なんらかの事情

 

 

 この頃、就寝前の読書タイムに布団に持ち込めるのは、エッセイ、雑誌、漫画のみとなった。読み応えのあるミステリなんか持ち込んだらさあ大変。目が冴えて、久世番子さんのコミックエッセイ「番線」にあったように、朝まで眠れなくなってしまうだろう。

  さて、岸本佐知子さんのエッセイ集を読むのはこれが3冊目。前の2冊「ねにもつタイプ」「気になる部分」がもんのすごく面白かったので、こちらも手に取った次第。翻訳者にしてエッセイの名手というと、須賀敦子さんなどを思い出したりするが、岸本さんのエッセイは、私にはとても電車では読めない。淡々とした筆致で描かれているのに、時々「ぶはっ!」とくる箇所がいくつもあるのだ。

  

 プロフィールを拝見すると、学年は離れているが、同じ大学の先輩である。母校は外国人の先生が多く、日本語表記にすると珍名の先生もいたっけ。

 

 本書に出てくる「ロボ先生」も、私には聞き覚えがある。たしか、イスパニア語学科とかポルトガル語学科あたりの先生だと思う。なぜ、よその学科の先生なのに記憶に残っているのかというと、同じサークルにイスパニア語学科とポルトガル語学科の先輩がいたのだ。先輩たちの会話に出てきたか、あるいは学期の最初に配布される授業要項に名前が載っていたのだろう。

 

 でも、「ラブ先生」の方は記憶にないのだ。英文科の人もサークルにいたんだけどな。うーん。ちなみに、神父様と結婚の話は、カトリック系の大学では鉄板ネタだと思う。神学部の男子が、「この勉強を中断したくなったら、結婚をダシにすればいいんだ」と豪語していたっけ(彼はその後、結婚したのかなあ)。

 

 本書ではなく、過去の本ではあるが、ほぼ日に担当編集者のインタビューが載っていたのでリンクを貼っておく(こちら)。

 

 インタビューの中で、こういう不思議なことばかり考えている人はどんな人だろうと編集者が思っていたら、著者は楚々とした知的な美人だったので驚いたとあるが、あそこの大学の卒業生からしたら、それほど意外でもない。

 

 母校は、美人が多いと評判で(ワタシは違うが)、才色兼備のお姉さんなんて珍しくもなくて(ワタシは違うが)、その中には、才色兼備なうえに面白いお姉さんがいて(ワタシは以下略……)、だから意外でも何でもないのだ。今でも付き合いのある同級生もそうだし(黙ってるとけっこうな美人なのだ)、同じ学科の先輩たちにも面白い(?)イタズラをされたことがある(それも、静かにしなきゃいけない図書館で!)。ああ、懐かしい。

 

 美人で面白いお姉さんて、当たり前だと思っていたんだが、余所じゃそうではないのかねえ。ともあれ、岸本先輩、続編をお待ちしております。

 

ねにもつタイプ

ねにもつタイプ

 

 

気になる部分

気になる部分