フランスの映画ガイド本
Le Guide du film Sherlock Holmes(1916)
2014年秋、パリのシネマテークでホームズ映画のフィルムが発見された。
ウィリアム・ジレット主演の「シャーロック・ホームズ」(1916年製作)である。もとは戯曲で、映画用に脚色し、サイレント映画なので仏語字幕をつけたものが発見されたというわけである。約100年前の作品である。
今年1月にパリで先行上映され、その後5月にはサンフランシスコで上映された。その後、Amazon.comでDVDが購入できるようになった(私は映画は未見)。
パリでの先行上映会に合わせ、フランス・ホームズ協会から二か国語の映画ガイドが刊行された。記事によって英語だったり、仏語だったりする。
ガイド本の全容はこちらで見られる(仏語)
購入はこちら(英語)価格は20ユーロ
英語のページは、1906年に映画公開時のレビュー(フランスでの公開は記事も仏語)、広告、米国版「ストランド」誌に載ったジレットについての記事などの再録がメイン。仏語のページは、会長のサン=ジョアニさん、会員で作家のB.ウダンさんらが執筆しているのだが、とても読みごたえがあり、充実した内容。写真が多く掲載されている。
仏語のページは、シノプシス(戯曲と映画版の違いも明記)、ジレットの記事、そして珍しいのが、モリアーティ教授役のフランス人俳優モーパンについての記事、ジレット家のルーツはフランスにあるという内容の記事で、これぞフランス版のガイドでないと読めない情報。米国でも映画ガイドとか出ているのかもしれないが、たぶん、内容はまったく違うだろう。
ちなみに、映画の元になった戯曲(英語)はフランスでも上演されたのだが、その際にただ仏語に翻訳しただけでなく、アレンジを加えて翻案されている。当時の「Je Sais Tout」誌に載っているが、100年以上たっているので、現在ならデジタル版をフランスの国立図書館のサイト(ガリカ)で読むことができる。
【追記】
映画はその後、日本のAmazonでもDVDが発売された。