横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

キングスマン

キングスマン」Kingsman: The Secret Service
マシュー・ヴォーン監督
出演:コリン・ファースタロン・エガートンサミュエル・L・ジャクソン
2014年 イギリス映画 

 
 コリン・ファースが珍しくアクション映画に出るというので、鑑賞。少し前にコリン・ファースが主演した、ウディ・アレン監督の「マジック・イン・ムーンライト」が消化不良だったので、お口直し。

 スーツを着た英国紳士によるスパイアクション映画。一見ミスマッチな感じだけど、英国には伝統があるようで。コリン・ファースのインタビューによると、昔の英国ドラマシリーズ「おしゃれ丸秘探偵」のイメージで演じたという話。さすがにこのドラマは見ていないが、リメイク映画「アベンジャーズ」は見た。レイフ・ファインズ演じる諜報員ジョン・スティードが主人公だった。ふうん。あんなイメージなのね。

 
 舞台は現代の英国。表向きはオーダーメイドスーツを仕立てる洋品店が、その実、「アーサー王と円卓の騎士」伝説をモチーフにした、諜報機関だった。諜報員のコードネームもランスロットとか、ガラハッドとか、騎士にちなんでいる。リーダーの老紳士がアーサーだったり、教官の名前が魔術師マーリンにちなんでいるのが楽しい。

 アーサー王伝説が大好きで、英国・フランスのゆかりの場所を訪れた私としては、欲を言えば、あの会議室のテーブルは、長方形ではなく、円卓にしてほしかった。また、スカウトされた若者たちが、「おまえのこと、ウィンチェスターのマクドで見た」と言っていたので、この映画では、諸説あるアーサー王伝説の舞台を、ウィンチェスターとして解釈しているのね。

 新人をスカウトすることになり、ハリー(コリン・ファース)はかつてのメンバーの息子エグジーを連れてくる。海兵隊にいたことがあるというだけあって、エグジーは過酷な訓練を乗り越えていく。

 スーツを仕立てるため、エグジーを試着室に案内すると、傘や万年筆、靴などにちょっとした仕掛けがあり、「007」も真っ青の武器になっている。誰が作っているんだろう。「007」の「Q」みたいな人がいるはず。

 ハリー役のコリン・ファースのアクションも堂に入っていて、パブの場面は楽しかった。

 しかし……しかしですよ。続編の可能性を考えて、いや、コリン・ファースをもっと見たいので(きっぱり!)、あんな形で消えてほしくなかったなー。そこが不満である。というか、この映画の主人公は、エグジーだったんだね。ポスターにコリン・ファースが出ているから、てっきりハリーが主人公だと思っていたよ。

 マーリン役のマーク・ストロングは、ガイ・リッチー監督の映画「シャーロック・ホームズ」で敵役だった人。いい味出していた。あとでキャストを確認したら、アーサー役はマイケル・ケインだったり。「迷探偵シャーロック・ホームズ」でホームズに扮した人(あっ、意外にホームズ濃度が高いな……)。いちばん驚いたのが、アーノルド教授役が「スター・ウォーズ」のマーク・ハミルだったことかな。ン十年たてば、ルークもさすがにおっさんになるわな。

 サミュエル・L・ジャクソンつながりか、はたまた、(パブの場面を除く)戦う場面の絵面のきたなさ(てか、グロい)からか、なぜかロバート・カーライル主演の「ケミカル51」を思い出してしまった。

 コリン・ファースの活躍をもっと見たかったよう。ということで、今いち不完全燃焼。お口直しに、来月は「コードネームU.N.C.L.E.」を見に行こう。こちらは「ナポレオン・ソロ」のリメイクで、ガイ・リッチー監督。たぶん、ホームズとワトソンのような、男二人の友情とか絡みとか、そういうのを描くんだろーな。