「シャーロック・ホームズ淑女殺人事件」
Sherlock Holmes and the Case of the Silk Stocking
出演:ルパート・エヴェレット、イアン・ハート、マイケル・ファスベンダー
製作:イギリスBBC
2004年
なんと、ルパート・エヴェレットがホームズ役を演じているなんて!
元祖、”英国貴公子”よー!
「アナザー・カントリー」よー!
遅まきながら、ようやくDVDで見た。それにしても、なぜこの人がホームズ? 長身だとか、彫りの深い顔とかが役に合うだろうということで、キャスティングされたのか? 「理想の結婚」では、19世紀の英国貴族の役を演じていたし。本作でも、タキシード姿が美しくて、「こんなにタキシードの美しいホームズってアリ?」と思った。
【以下、ネタバレを含む】
しかし、ずっと見ているうちに違和感が。やけに顔色が白いのもあるけど……。アヘン窟に入り浸っていたり、どこか退廃的で、お耽美。むむむー? 本作の舞台はエドワード国王の治世で、1903年。ホームズは50歳近くで、聖典だとサセックスに引退して養蜂を始める頃。ルパート・エヴェレットは、到底カントリー・ジェントルマン(になる予定の人)には見えないのだ。ワトソンが結婚していなくなったら、やばいんじゃないか?
対して、イアン・ハート演じるワトソンは地に足の着いた常識人で、いい感じ。「バスカヴィル家の犬」にも出ている俳優。ワトソンは結婚を控えていて、ホームズを置いて家庭を持つところ(相手がメアリー・モースタンじゃないので、再婚?)。捜査でも大活躍をする。
オープニングで俳優のクレジットを見ていて、マイケル・ファスベンダーの名前に「おっ!」と思い。2004年だと、ハリウッドでブレイクするより前だから、どこに出てるかわかるかなーと心配していたら、予想に反して、とても重要な役で出ていた。なにしろ使用人なのに、男前すぎて目立つのだ。
かどわかされる娘っ子たちが、令嬢なんだけど、かなり若い子たちばかり(社交界デビュー前の子もいる)だからか、「おお!」という美人がいなくて、物足りない。その代わり(?)、ルパート・エヴェレットとマイケル・ファスベンダーの新旧美青年対決が際立ち。
ちょっとー!! 奥さーん!!
壁ドンよー!!
いったい誰向けのサービスなのかしらね~。
ルパート・エヴェレットのホームズには「はたしてこれで良かったのだろーか?」という不完全燃焼感があったけど、マイケル・ファスベンダーの悪役ぶり(あの冷たい目!)で多少は救われた気がする。でも、安易な双子の設定はやめてほしい。アリバイ崩しの醍醐味も何もないじゃん。
英国貴公子ブームといえば。1980年代のイギリス映画には、やたらと美青年が出てきた。代表的なのは、男同士の恋愛を描いた「モーリス」「アナザー・カントリー」など。BBC「シャーロック」でレストレード役を演じるルパート・グレイブスも、「モーリス」や「眺めのいい部屋」に出演している。当時を知る大人女子は、「シャーロック」で、ルパート=レストレードに熱視線を注いでいると思われ。やるのう、BBC!