横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

ガスパール 君と過ごした季節

 「ガスパール 君と過ごした季節」Gaspard et Robinson
トニー・ガトリフ監督
出演ジェラール・ダルモン、ヴァンサン・ランドン
1990年(日本公開1996年)フランス映画

ガスパール~君と過ごした季節 [DVD]

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図書館の映画上映会にて鑑賞。

<あらすじ>
南仏、プロバンス。妻に捨てられた中年男ガスパールと、幼い頃
母に捨てられたロバンソンは唯一無二の大親友。二人の夢は
海辺の廃屋を改装して、小さな食堂を始めること。ある日、家族に
捨てられた老女ジャンヌと出会い……。

 原題はGaspard et Robinsonなので、男同士の友情を描くのがテーマなのかなと。しかし、邦題は「ガスパール」になっている。その理由は……?

 勤めていた錠前屋が倒産し、失業した男二人は、海辺の廃墟に住み着いて、廃材を拾ってきてはリフォームをしていた。何でも拾っちゃうロバンソンが、ある日突然、おばあちゃんを拾ってきたからさあ大変。ガスパールは「勝手なことするな!」とカンカン。

 しかし、家族に捨てられた者同士で一緒に暮らすうち、疑似家族のような形になる。最初は怒っていたガスパールも、ジャンヌに優しくなる。

 

 お金がないはずなのに、食料はどうしているのかと思いきや。鍵束を使ってあちこちの家の台所に入り込み、食料を頂いてくる! ある家では、赤いドレスと靴までくすねてくる! 

 ドレスと靴をおばあちゃんにプレゼントするものの、「あたしにはこの色合わないわー」。ところが、浜辺で焚火をしながらダンスして、ガスパールに「いいね」と言われると、少女のように微笑んで「あらそう?」と嬉しそう。いくつになっても乙女なのね。服にペンキをつけちゃって、サロペットになった姿もかわいい。

 ロバンソンは貧しいシングルマザーに恋をする。彼女が病気になったのを機に、この母子も引き取り、また新しい疑似家族が形成され……。だが今度は、家族というものを嫌い、妻に捨てられた傷を引きずるガスパールは耐えきれず、出て行ってしまう。去って行ったガスパールを想うため、この邦題になったのか。

 貧しく、何もない中で、男二人が生活をするという設定に、なぜか「クリクリのいた夏」を思い出してしまった。あれはダメ父ちゃんと、よそからやって来た男の友情の話だったが。

 

 以下、自分用メモ。

 この俳優さんたち、どこかで見たなー。と思いながら全然思い出せず。仏語版Wikipedia様に教えを乞うたら、過去の出演作が判明。ジャンヌ役のシュザンヌ・フロンは、「クリクリのいた夏」で、老女になったクリクリ役を演じた。おお!2つの作品がつながった!(無理やり)シングルマザー役のベネディクト・ロワイヤンは、ロメールの「パリのランデブー」で、ピカソ美術館で出会う人妻役。ロメール作品は好きで、がっぷり見てたはずなのに!覚えていなかった。