横文字の島

Ile de l'alphabet ~ ある翻訳者の備忘録

はじまりのうた

「はじまりのうた」Begin Again
2013年 アメリカ映画
ジョン・カーニー監督
出演:キーラ・ナイトレイマーク・ラファロアダム・レヴィーンマルーン5

 

<あらすじ>
ミュージシャンのデイヴと恋人のグレタは、メジャーデビューが決定し、ニューヨークにやってくる。スターとして忙しくなるデイヴとすれ違いの日々が続く中、彼の浮気が発覚。グレタは街をさまよい、旧友のミュージシャン、スティーヴの家へ転がり込む。

スティーヴは小さなバーのライヴに連れて行き、そこでグレタをステージに誘う。彼女が一曲演奏すると、ダンという中年男性が近づいてきて、自分は音楽プロデューサーだと明かし、一緒にアルバムを作ろうと持ちかける……。


 以下、感想(注:ネタバレあり)。
ONCE ダブリンの街角で」のジョン・カーニー監督の作品。やはりこの作品も音楽が主人公。音楽を通して、人生を再生する物語。破綻しかけた2組のカップルが登場するけど、元に戻りそうな気配。「ダブリン」もそうだったけど、たぶん、恋愛は最重要な要素じゃないのだ。歌詞に反映されたり、モチーフにはなるけど。

 
 夏のニューヨークが美しい。ゲリラ撮影というのが良い。ミュージシャンものびのびと演奏している。大和証券のCMみたいだけど。グレタ役のキーラ・ナイトレイが意外と歌が上手い! ギターをつまびきながら歌う姿が様になっている。旧友のスティーヴがいい味出してると思ったら、「ワンチャンス」でポール・ポッツ役を演じたジェームズ・コーデン

 無名とはいえ、ミュージシャンをたくさん集めて一発で録音するのは、今時とても贅沢な方法なのだろう。プロデューサーは、レーベルを立ち上げたけれど、ここ数年ヒットがないとぼやいたり。デイヴはスター街道を進むけれど、曲が当初のイメージとは違う風にアレンジされてしまったり。音楽業界の厳しさが垣間見える。「ダブリン」はデモテープを作り、これからレコード会社に送るぜ、という直前で終わったが、この作品は、別の登場人物ながら、まるで「その後」を追っているよう。

 レコード会社といざ契約というときに、グレタが「自分達で制作したのに、なぜ自分達の取り分は1割で、レコード会社が9割なのか?」と鋭く質問する。結局、今時の方法、つまりインターネットで直接販売という方法をとるのだが、ここにレコード会社の苦境が現れている。

 よく「CDが売れない」と言われているが、音楽は売れている。ダウンロードして、音楽家から直接購入している。不景気なのは、音楽業界全体じゃなくて、レコード会社だけでは? 音楽そのものがダメなんじゃない。

 一見、スターになったデイブの方が成功しているように見えて、その実、自分のやりたい方法で夢を実現しているグレタの方が、ミュージシャンとしてずっと幸せなんじゃないかと思えてしまった。

 音楽が素晴らしくて、サントラCDを購入した。「Lone Stars」だけでなく、他の曲もお勧め。久しぶりの衝動買い。

 

はじまりのうた-オリジナル・サウンドトラック

はじまりのうた-オリジナル・サウンドトラック

 

 

 

ワンス ダブリンの街角で オリジナル・サウンドトラック

ワンス ダブリンの街角で オリジナル・サウンドトラック

 

 

 

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